米つけ麦つけ
 コメツキムシを、オタケ、オタケムシ、オタケさんなどといっていた。この虫の胸と腹を指でつまむと、プチンプチンと音をたてながら頭を上下に振る様子が、米や麦をつくように見えるので、子どもたちは「おたけ麦つけ」とか「おたけ米つけ」などと呼びかける。

 西どっち
 体長五センチくらいの、イモムシかなにかの蛹(さなぎ)を、ニシドッチと呼んでいた。指でつまむとからだを左右に動かすので、「西どっち」とか、「西ゃどっち」などと呼びかける。「西どっち 東どっち」と言いながら遊んだという人もある。

 どのくらい
 オケラは前脚が異常に大きく力も強い。この虫を捕えて
  オケラさん オケラさん おめえのチンボ どのくれえ
  このくれえ もうちょっと このくれえ
などとはやすと、オケラは手(前脚)を広げたり、つぼめたりするので、子どもたちはおもしろがって、はやしたてたものだった。

 庭虫つり
 初夏の頃、庭先や原っぱの堅い地面に直径二から三ミリ、深さ二十センチほどの縦穴を掘ってひそむニワムシ(地虫とも呼ばれるニワハンミョウの幼虫)を、ノビロ(ノビル)やニラなどの葉で釣り上げる。ノビロの葉の根元の方をちょっとかんで穴にさし込んでおくと、ニワムシが食いついてノビロがピクピク動き出す。そおーっと引っ張りながら、穴から抜くときにきゅっと釣り上げると、おもしろいように虫がよく捕れる。釣り上げた虫を他の穴に入れると、下にいる虫とけんかをするので、二匹とも一緒に簡単に捕れてしまう。

 さむらいグモ
 庭木や垣根などの根元に付いているジグモの細長い袋状の巣を、周りの土を少し掘り、そおーっと引っ張り出してクモを捕る。ジグモの胴をつまむと、もがいて体の先端にある鋭い牙で自分の腹を切ってしまうので、腹切りグモとか、さむらいグモなどと呼んでいた。