(1)実績報告で判明した各地域包括支援センターの件数の差について【資料1】
(事務局)
第1回の協議会の中で令和4年度地域包括支援センター(以下「センター」という。)の実績報告を行った際に、会長より「実績報告で判明した件数の差について、センター長が話し合い、原因の究明を行ってほしい。」との御意見をいただいたことから、センター長会議を開催し、センターごとの実績件数の差について原因究明及び集計方法の統一の仕方について話し合いを行った結果を報告する。
端的に言えば、どのレベルの相談を1件としてカウントするかが異なっていた、ということであった。各センターごとに集計方法の違いがわかったところで、センター長間ですり合わせを行い、集計方法を統一することとした。また、市においては、実績報告に使用する言葉の定義を明確にすること、センターにおいて負担になっている個別ケア会議の報告書等の様式の変更を検討することとした。
ただし、それぞれのセンターで使用しているセンター支援システム(以下「システム」という。)が異なること、そのシステムに入力する職員一人ひとりに統一された集計方式を浸透させること、また、言葉の定義や様式の変更にはまだすり合わせを行う期間が必要であることから、以上の解決策を試行期間として令和5年10月から開始し、令和5年度の実績報告で検証を行ったうえで、令和6年度の実績報告時には統一された基準での報告を目指すこととした。
(会長)
センター長から補足説明することはあるか。
(こまえ正吉苑)
当センターで使用しているシステムの仕様上、件数についての集計機能がなく手入力で実績件数を集計をしていたが、この度システム改修を行ったことにより、10月からは正確に実績件数を集計できるようになった。
(こまえ苑)
当センターで使用しているシステムの運用においては、業務改善を目的とし、1件の相談に対して複数の対応をした場合においても一纏めにし、入力項目を減らし、また対応経過をわかりやすく表示するようにした経緯がある。記録業務を減らすための取組のため、今後、実績件数把握のためにシステムを改修することは考えていない。
そのため、試験的に8月分の実績を1対応1件で集計し直してみたところ、約100件増加し約1.2倍の件数となった。しかし、これでも他のセンターとの差は大きく埋まることはなく、ばらつきの精査はできていない。
(あいとぴあ)
当センターでは、総合相談は一つの対応で件数1とカウントしていた。また、介護支援専門員の支援については、軽微な質問の場合は件数に入れていなかった。今後は統一された集計方法で集計していく。
(会長)
センターによって集計方法が違うのは仕方ないが、この実績件数は外部に出すものである。外部の人たちから評価を受けることは大切なことである。一方で現場の負担が増えることは望むことではない。今後は件数だけでなく、その相談の内容自体が重要になってくる。相談の件数や内容から、どのような姿勢で相談を受けるのか、センターの業務をどう改善していくのか。どのようなデータを集めどのように自ら評価していくのか、その先に施策を展開していくことになる。モアベターな方法を見つけるよう、継続的にセンター長会議で議論してほしい。
(委員)
実績件数の集計方法を統一するために業務量が増加することは避けるべきと思うが、根本的な原因はシステムの違いなのか。システム自体を統一することはできないのか。
(こまえ正吉苑)
システムはセンターの委託を受けている法人ごとに異なるものである。数年前までは、3つのセンターのシステムはたまたま同一のものであったが、当法人の経営方針により法人内のシステムが一斉に変更されたことに伴い、当センターのみ別のシステムを使用している。
(あいとぴあ)
当センターはこまえ苑とは同じシステムを利用しているが、運用方法が異なる。センターごとにそれぞれの視点をもって運用をカスタマイズしているため、集計の方法が異なってしまっている。
(こまえ苑)
あいとぴあが回答したとおりである。もともと実績件数の差について疑問に感じていたため、あいとぴあとは相談をしていたところではあるが、結論には至っていない。
当センターでは前述の運用方法の変更を行ったことにより、業務量を削減することができた。実績件数の集計のために業務量が多くなる方法に戻すことはないと思う。会長の御意見のように、今後は件数よりも内容が重要になってくるのではと考える。
(委員)
それぞれのセンターの考えは理解した。シンプルに業務負担が減る観点で検討したらいい対応になるのではないか。
(会長)
データを求めて現場に過剰な負担を強いるのは良いことではないが、ある程度統一の基準を設定する必要がある。外部から見たときに正確な判断ができなくなってしまうことは良いとは言えない。今後もセンター長間で議論してほしい。また、次回の会議で途中経過を報告していただきたい。
(2)あいとぴあレインボープラン(高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)策定の進捗状況について【資料2】
(会長)
センターについては高齢者支援がメインではあるが、ケース対応の中で高齢者分野のみならず様々な領域が関わってくる。今後もより広い視野で、センターだけにとらわれず地域包括ケアシステムの構築に向けた方策をこの会議で議論できればよいと思い、今回あいとぴあレインボープランの策定の進捗状況について報告をいただくこととなった。また、現場からの要望をいただき、この計画に反映できればとも思う。
《説明者より資料説明》
(会長)
あいとぴあレインボープラン策定の進捗状況について、意見や質問はあるか。
(委員)
あいとぴあレインボープランという一つの大きな計画に対し、この協議会では高齢者の分野のみが報告されるのか。
(会長)
高齢者分野だけではなく、地域共生社会への実現にはセンターの存在が重要となっている。日本では長らく、児童・障がい者・高齢者と三つの領域に分けて縦割りで考えられてきた。今後は、そのような分け方ではなく家族全体、地域全体で見て考えていくことが大切である。
(委員)
今回は高齢者分野の報告であった。今後は高齢者以外の分野も追加で報告されるのか。
(会長)
本来は地域全体のこととして、全ての分野について報告を受けるべきであるが、会議の時間の関係もある。今後については事務局と相談していく。
(委員)
資料の中で、あいとぴあレインボープラン(地域共生社会推進基本計画)となっている箇所と、あいとぴあレインボープラン(高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)となっている箇所があるが、どのように考えればいいのか。
(説明者)
資料2の4ページのとおり、あいとぴあレインボープラン(地域共生社会推進基本計画)では共通の基本理念及び基本目標を示したものであり、その先の施策の段階で高齢者と障がい者の分野に分かれて計画がある。あいとぴあレインボープラン(高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)とは高齢者福祉施策の計画を指すものである。
また、前述したとおり高齢者計画と障がい者計画があるが、両分野にまたがる成年後見計画や重層計画もある。
(委員)
資料2の7ページの「7 基本目標」において、基本目標1の「切れ目のない相談支援」の「切れ目ない」とは具体的にどういうことか。
(説明者)
資料2の8ページの「5 重層計画の施策」において対応していく。
(会長)
重層計画の話に移ったため、次の議題「狛江市における重層的支援体制整備事業の現在の状況について」の中で併せて報告をしてもらい、その後にまとめて質問いただけたらと考える。
(3)狛江市における重層的支援体制整備事業の現在の状況について【資料3】
《説明者より資料説明》
(会長)
重層的支援体制整備事業は、今までの児童・障がい者・高齢者と三つの領域にとらわれない複合的課題に対応していく。現場において、つなぐシートの利用等徹底してほしい。
重層的支援体制整備事業は、全国的に始まっている。例えば、北海道音更町では会議に獣医師が入っている。動物病院に動物を預けたままで迎えに来ないことで、高齢者の異変に気がついた例がある。また、いわゆるごみ屋敷等の苦情から異変に気づき解決していくように、今後は地域の様々な方が関わっていくことが重要となってくる。
また、他の自治体の例になるが、水道料金の滞納により水道を止められた人がいた。水道を止めるまでに、その人の経済的困窮の課題について対応できることがあったのではないか。早期発見・早期対応するため、行政を縦割りにせずに現場で対応していただきたい。
他に、意見や質問はあるか。
(委員)
重層的支援体制整備事業において、資料にある図からしても、現状もそうであるが、センターが身近な相談の受け皿として重要な位置にいる。センターに相談に来れない方、センターを知らない方が漏れてはいけないと考える。現在は様々な形で情報は入ってくるが、自分から相談に行けない人もいる。アウトリーチをしていくべきである。自ら発信できない人を支援することが重層的支援体制整備事業の最たるものと考える。人員や予算も含めたアウトリーチの体制を整えていくことが重要である。
(説明者)
アウトリーチには二種類あり、一つはつなぐためのアウトリーチ、もう一つは伴走型のアウトリーチである。
つなぐアウトリーチについては、狛江市では平成30年にコミュニティソーシャルワーカーを配置し、地域づくりの一環としてのアウトリーチを行っている。
また、高齢者の多い狛江団地及び多摩川住宅にこまほっとシルバー相談室を設置し、積極的なアウトリーチを行っているところである。
さらに、今年度は生活困窮者の枠組みの中でアウトリーチを行っている。これは伴走型のアウトリーチとなる。
(委員)
支援が欲しいと声をあげられない人に対して、声をあげていいんだよと伝えるためには、どうのような仕組みが必要になるのか。生活困窮しているにもかかわらず声をあげられない人をどのようにして助けるのか、を考えていただきたい。
(会長)
まさに先ほどの水道を止められた人の話である。行政の縦割りによって対応できていない例である。まずは情報提供が大切である。
ある調査によると、生活困窮者の80%は様々な情報をインターネットから得ているという。そのような人に対しては、インターネットで情報を提供することが重要になってくる。また、インターネットを利用しない人に対しては、コミュニティソーシャルワーカーや民生委員から情報を提供するとよい。
先々支援が必要になる可能性が高い人は事前にセンターで把握しているかと思う。子どもがいない一人暮らし等の場合、全てのケースがハイリスクとは言えないが把握しておく必要がある。
デンマークのコペンハーゲンでは、子どもが生まれたタイミングでその家庭がハイリスクかどうか判定していく仕組みがある。
ハイリスクの人を見つけて予防していくことがセンターに求められている。
また、今は身寄りのない人の支援が求められている。市に行政の委託事業として進めてほしい。調布市社会福祉協議会では身寄りのない人の支援をやり始めている。どうしようもなくなってからではなく、早期に対応できる仕組みを作ることが大切である。
さらに、ケアマネジャーやホームヘルパー等の人手不足が言われている。自治体でできることは限られているが、ぜひ市に対応してほしい。また、現場からも声をあげてほしい。
(委員)
他の地域から高齢者が独居で転入してくることが多い団地について、市としてどう考えているか。
支援が必要な高齢者が増加しているが支援する側の人員は限られており、現在の仕組みではいずれ破綻するだろう。これ以上若い人に押し付けることなく、とはいえ高齢者は高齢者同士で助け合うことができるのか。今後の対策を考えなくてはならない。
(説明者)
団地居住の高齢者を対象としているこまほっとシルバー相談室では、転入者に対してアウトリーチをしている。また、南部地域に設置した多世代交流拠点のふらっとなんぶでは、転入者の交流を支援する事業を始めている。
(会長)
市ではこれから多摩川住宅の建て替えが行われる。新しい住民が入ってきたとき、新しい課題が生まれる可能性がある。
(委員)
先ほど説明者の話にあったアウトリーチは、全体から考えると一部でしかなく、まだ一つ一つの「点」の段階である。
(説明者)
マンパワーに限りがある中で、優先度の高い人から支援することが原則となっている。
多摩川住宅の建て替えにおいては、住民同士で協議していくものかと思う。
(委員)
実際に多摩川住宅の建て替えついては、住民同士で協議を行っている。
重層的支援体制整備事業の資料によると、複雑化・複合化した事例について最終的には行政が対応することになっている。関係者のコーディネート能力が必要となっている。これまでの縦割りでは難しい。研修が不可欠であると考える。
(説明者)
資料3の7ページの多機関協働事業について説明すると、対象者に対する関わり方としては今までと変わりはなく、それぞれの機関の役割分担についてコーディネートするのが福祉相談課ということになる。
今後はそれぞれの機関に向けて、多機関協働事業についての周知を行っていく。
(会長)
先ほどから言っているとおり日本では今でも児童・障がい者・高齢者と三つの領域に分ける縦割りの考えが残っている。相互研修を勧めたい。例えば高齢者支援担当が障がい者センターに行く等、お互いの立場を理解でき、お金はかからない研修である。分野の壁をどのようにすれば乗り越えられるかを考えていかなくてはならない。
市域が狭い狛江市ならではの顔がわかる関係づくりが重要である。
これから計画を詰めていく段階であり、今後は住民懇談会やパブリックコメントが実施される。各委員もその中で意見を寄せていただけたらと思う。
(4)その他
(事務局)
次回の本運営協議会は令和5年12月13日(水曜日)に開催する。
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