(会長)
今回は、重層的支援体制整備事業の中での地域包括支援センターの役割の共有を行うとともに、改めて地域包括支援センター運営協議会の役割を整理し共有を行う。重層的支援体制整備事業については、事業性質上非常に複雑な報告となることと思うが、地域包括支援センターの役割を把握するため、事業の目的及び内容について、率直な意見及び質問をお願いしたい。
(1)重層的支援体制整備事業において地域包括支援センターに求められる役割について
〈事務局より資料説明〉
(会長)
重層的支援体制整備事業の事業全体について、極めて精緻に報告を行ってもらった。そのため、内容が非常に複雑であったと思うが、地域包括支援センターの役割などにポイントを絞るなどして、理解をしていただきたい。重層的支援体制整備事業は、八王子、町田、多摩など、周辺自治体でも実施に向けた議論が紛糾しているところであるが、狛江市においては、福祉分野を束ねる存在である福祉政策課を2014年に設置するなど、重層的支援体制整備事業と同様思想に基づいた行政運営を以前より行っていたことを把握していただきたい。議題2において事務局からも報告があることかと思うが、本協議会においても、地域包括支援センターを地域の多様な相談の窓口とする構想について議論を深めてきた。その結果、令和3年4月の精神保健福祉士の配置にもつながっている。
また、令和2年4月には狛江市福祉基本条例へ地域共生社会の実現について明記するなど、狛江市は他の自治体より進んでいる点も多い。条例への明記は、市職員や地域包括支援センターなどの民間の相談機関の職員の相談対応への自覚を醸成する意味でも重要である。
高齢者の人口ボリュームがますます増加する中、8050問題、介護と育児のダブルケア、ごみ屋敷による孤立など、複合的な課題を抱える人も同様に増加し、それに伴って地域包括支援センターの役割も大きくなっていくと予想される。事務局の説明内容について、質問や意見などをいただきたい。
(委員)
改めて地域包括支援センターの重要さがわかった。細かい部分については理解しきれていないが、地域住民が主体となり、重層的支援体制整備事業が円滑に施行されれば、狛江はよりよくなると思う。各機関の連携、情報共有が特に重要である。
(委員)
いずれは、地域包括支援センターのみならず、介護支援専門員事業所なども重層的支援体制整備事業の枠組みの中で、支援に参加していくものと思われる。資料のみでは、複雑で理解ができないため、より詳細に説明を受けることができる場を用意してほしい。また、引きこもり対策として、参加支援事業が挙げられていたが、引きこもりの状況にある方を誘い出すことは極めて困難で、実現性が低いように思う。
(会長)
おっしゃる通り、国の示す参加支援事業については、課題が多いと個人的に考えているところである。事務局から追加の説明をお願いする。
(事務局)
引きこもり状態にある方の支援において、すぐに参加支援事業を行うことが困難であることは認識している。引きこもり対策の実施にあたっては、アウトリーチ等支援事業が前提となっている。本人へのアウトリーチ、パーソナルサポーターとの信頼関係の構築が第一段階、その上で重層的支援会議にかけ、本人の社会参加に向けた施策を議論することが第二段階である。また、参加支援事業のゴールは就労ではなく、あくまでも本人の状況に応じて社会とのつながりを維持し、孤立を防ぐことである点が重要である。
今後、介護支援専門員連絡会と協力した、重層的支援体制整備事業に関する研修会も考えている。介護支援専門員には、つなぐシートを用いた困難ケースの相談など、市への情報共有の協力をお願いしたいところである。
(委員)
精神保健福祉士、ケースワーカー、介護支援専門員などは、個人により力量に差があり、困難な状況にあるときにSOSが出せるかどうかも人による。よりSOSが出しやすい環境を整備することが重要と考える。
また、地域包括支援センターに精神保健福祉士を配置するにあたり、3年以上の実務経験を募集要件としていたかと思うが、精神保健福祉士も力量の差があることかと思う。力量のある方を見極めてほしい。
(事務局)
精神保健福祉士は令和3年4月をもって各地域包括支援センターに配置されており、すでに活動している。
(会長)
地域包括支援センターには、要点で構わないので、重層的支援体制整備事業における地域包括支援センターの役割について協議をしてほしい。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、困難ケースが増加している昨今、より丁寧で着実なケアと、そのための人材育成が求められている。
また、重層的支援体制整備事業の理解を一般の市民にどのように広げていくかということも重要である。社会福祉協議会やNPOなどには、市民への啓蒙、孤立防止支えあい体制の構築に尽力してもらいたい。町会、自治会の影響力が限定的な狛江市では、個々の市民の参加が鍵となる。
(委員)
地域包括支援センターの基本的な役割は、介護が必要な高齢者のニーズをキャッチすることと理解したが、よろしいか。
(事務局)
主に高齢者が対象であるが、高齢者世帯の中には高齢者以外の年齢層も含まれていることがある。8050問題など、世帯内で複雑な課題がある場合には、地域包括支援センターで世帯全体として相談を受け付け、対処が困難な場合には、適切な支援機関へつなげてもらうことになる。高齢者が中心であることは確かであるが、その後つなげることが重要である。
(委員)
重層的支援体制整備事業では、高齢から子どもまで非常に広い範囲の支援を包摂しているが、高齢化が進む中、助けが必要な方は多くなる一方であると思う。マンパワーは足りるのか。公にしても民間にしても、重層的支援体制整備事業の実現にあたり、多くの人員を割くことになることは確かである。それに見合う予算を、市として計上していくこということか。
(事務局)
重層的支援体制整備事業を行う上で、市として新規に採用した人材はいない。重要なことは、マンパワーの増強よりも、よりシステマティックに課題を解決できるような仕組みを構築することにある。例えば、市の職員が行うには困難である、引きこもりのケースへの伴走支援などについて、外部へ委託することなどを考えている。新たな事業をはじめるのではなく、既存の枠組み内で、より適切に課題を把握し、共有し、解決に向けた体制を整えることが、重層的支援体制整備事業の趣旨である。
(委員)
既存の枠組みを機能強化するにしても、課題が多く、現在の人員ではまかなえないのではないか。
(会長)
昨今、非常に複雑、複合的な問題がますます増えてきている。重層的支援体制整備事業の今後の課題は、事業の成果をどのように評価していくかにあるのではないか。縦割りではなく、横のつながりを得たことで、問題が解決したケースを増やしていく必要がある。実績を残すことが、予算化含め、行政の更なる事業への注力につながる。公費を用いて行う以上、常に評価を行い、実績を残すことが非常に大切である。
(2)地域包括支援センター運営協議会の役割について
〈事務局より資料説明〉
(会長)
前回質問があった地域包括支援センター運営協議会の役割、これまでの議論についての報告であった。資料内の地域包括支援センター年間予定にもあるように、1回目と4回目に前年度の報告及び次年度の方針の議論を行うこととなっている。現段階において予定のない2回目と3回目の会議をどのようにしていくべきか。時代、状況に応じた議論を行う必要がある。
(委員)
資料にもあるとおり、会議の公開については規定がある。こちらについては確実に履行をしてもらう必要がある。
また、前回の時には4人市民委員がいた。応募がないため市民委員数を減らしたとのことだが、公開がないことには地域包括支援センター運営協議会への理解が市民の間で深まらず、応募も振るわないだろうと思う。
また、市民委員の募集については、高齢者が多いため、PCメールなどインターネットを介した応募に限定するなどがないよう、持参、郵便など柔軟に対応してほしい。地域包括支援センターは住民に最も身近な施設であるため、改めてお願いしたい。
(会長)
地域包括支援センター運営協議会のみならず、狛江市では、委員会や協議会の運営が不十分な点がある。人事異動による引継ぎ不足は言い訳にはならない。市民の参加、活発な議論のためにも、会議の公開については、徹底してほしい。
今後、中長期的に地域包括支援センター運営協議会でどのようなことを議論していくかということについて、地域包括支援センターより提案はあるか。
(委員)
今日の重層的支援体制整備事業については、NPO等に市職員が出向いて説明をするなどしてほしい。
(事務局)
実施の必要性は理解しているが、担当課長がすでに離席しているため、回答を控える。要望については、担当課へ伝える。
(委員)
資料だけでは理解ができない。既存の体制に上乗せすることはよいが、周知が必須である。
(会長)
担当課長のみが説明できる状況ではいけない。各課長の理解に加えて、担当レベルでは、市民にどのように理解してもらえるかも考えなければならない。今回の説明は、福祉の専門分野が多分に含まれたプロ向けのものであったが、それをどのようにして理解しやすいものにしていくか。地域包括支援センターは、介護支援専門員などに説明できるようにしておいてほしい。
(委員)
地域住民が通報を行ったことで、生活困難と精神疾患の複合ケースを支援につなげたことがあるが、個人情報の問題からか、その後住民に対して支援の経過の説明などはなかった。重層的支援体制整備事業への市民の理解を深めるためには、過去の事例等これまでの活動の経緯を具体的に説明するべきではないか。
(会長)
地域包括支援センターが重層的支援体制整備事業の中で重要な役割を果たすことは明らかである。現時点で、地域包括支援センターに何が求められているのか、何が足りないのかを把握するため、各地域包括支援センターには、事務局と相談の上、次回の会議までに、解決したケースと、拒否などにより支援が芳しくないケース双方の具体例を1例ずつ報告してほしい。特に、精神保健福祉士が活躍することが想定されるような、精神疾患のあるケースを検討したいと思う。
民生委員が12月に改選となるが、狛江市は定員の96%は任命できるとのことである。過去は多摩地区でもワーストに入るほど民生委員が不足していたが、町会自治会の推薦を経ず、現在の民生委員の推薦などで人員を賄っているとのことである。団地など高齢化が著しい地区で民生委員がいないことは孤立などの大きなリスクとなる。地域包括支援センターと民生委員が連携して活動するためにも重層的支援体制整備事業を理解してもらう必要がある。
(委員)
重層的支援体制整備事業は、地域包括支援センターの支援で解決しなかったケースを重層的支援会議につなげるものと理解していたが、会長の話を聞くに、重層的支援体制整備事業を実現させるためには、地域包括支援センターがこれまで以上に時間と人員を投資しなければならないように思う。次回の会議における報告も、本来は地域包括支援センターの抱えるケースではなく、地域包括支援センターに市が関わったことで解決に導かれたケースを紹介するべきではないか。
(会長)
基本的には、委員の考えるとおりであるが、現在はまだ地域包括支援センターがどれほどの課題解決能力を持っているのかも把握しきれていない状況である。加えて、複合的な課題を地域包括支援センターがどれだけ抱えているのかを明らかにする目的で地域包括支援センターより報告をしてもらう形としたい。
センター長からは、重層的支援体制整備事業への取組や、精神保健福祉士の活動などについて報告はあるか。
(あいとぴあ)
精神保健福祉士は、地域の医療機関とのネットワーク作りや、精神保健福祉士の部会を開催するなどしている。まだ採用から日が浅いので、今後の活動の種をまいている状況である。
(会長)
新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会や家庭内のみならず、学生内でも、非常に大きなストレスがかかっている。私も学生からストレスに起因するパニック障害などの相談を受けることもある。中高年の精神状態が心配なところである。狛江市は精神科のクリニックが少ないという課題がある。ケースについて率直に報告してほしい。連携のありようなどを協議していかなければならない。次回の報告については、センター長と事務局で検討をしてほしい。
(3)その他
(事務局)
次回の地域包括支援センター運営協議会は、12月中旬を予定している。
(会長)
皆様の予定や、会議室の予約などもあるため、できる限り早く日程を決め、連絡をするようにする。実りある、中長期的な議題を期待する。重層的支援体制整備事業は、今後の地域包括支援センターの柱となる事業であるため、委員各員には理解を深めておいてほしい。
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