平成26年度 第4回狛江市外部評価委員会(平成26年7月24日開催)
1 日時 |
平成26年7月24日(木)午後7時00分~午後8時57分 |
2 場所 |
狛江市役所4階特別会議室 |
3 出席者 |
委員長 都築 完 副委員長 福島 康仁 委 員 尾花 尚哉 委 員 原田 晃樹 委 員 楫取 静子 委 員 唐川 稔英 委 員 小島 恵理子 委 員 谷田部 武晴 委 員 石森 準一 布施高齢障がい課長 鈴木高齢者支援係主事 折本高齢者支援係主事 事務局 小川政策室長 浅井企画調整担当主査 森企画調整担当主任 白石企画調整担当主任
|
4 欠席者 |
委 員 高橋 武 委 員 中島 邦子 |
5 議事 |
(1)評価対象事業担当課へのヒアリング(高齢者福祉分野) |
6 会議概要 | |
■事業① 敬老金 【委 員 長】 支給品は現金である必要はあるのか。改めて認識を伺いたい。 【高齢障がい課長】 必ずしも現金である必要はないと考えているが,検討する際は,他市の状況等を踏まえる必要がある。また,本事業は条例で規定されているため,内容を変更するには改正の手続きが必要となる。 【楫取委員】 現金のみに縛られる必要もないと思う。支給された現金は,市外で使われる可能性があることから,特産品をプラスして支給するなど,市内に循環する仕組みを考えてみては。 【委 員 長】 枝豆等はどうか。 【鈴木主事】 高齢者の中には食事制限がある方も多く難しい。 【谷田部委員】 お祝い金の使い道を調査したことはあるか。また,高齢者は,自分よりも孫等に対してどんどん使ってしまう。ご自身のために使ってくださいと促すことも必要だと思う。 【高齢障がい課長】 あくまでもお祝い金という趣旨なので,そのような調査は考えていない。 【石森委員】 多摩地域26市の実施状況を見ると,101歳の高齢者が受け取れる総額について,狛江市は4番目に高い。このことについて検討した経緯はあるか。 【高齢障がい課長】 支給対象年齢については,節目支給に変更した以降は検討していない。 【委 員 長】 高齢化社会に伴い,支給対象者は増えていくが,このことについての検討は。 【高齢障がい課長】 具体的な検討はしていない。 【委 員 長】 狛江の財政状況を考えると,早急に検討すべきである。本事業を中止し,他の事業に財源を移すことを検討したことはあるか。 【高齢障がい課長】 そのような検討はしていない。 【副委員長】 「目的が達成されているか」「手段は有効なものか」「社会変化に対応しているか」という3つの視点で考察する必要がある。本事業の目的は,高齢者に対して敬意を表するということだが,現金が敬意に値するのかということを考えると,目的を達成できているのか疑問である。また,社会情勢が変化しており,本事業を開始した1969年の高齢化率は7.1%であったが,今は25%となっている。この変化への対応が図られているとは言い難い。さらに,敬老金の受給を楽しみに生きる糧としている高齢者がいるということであるが,そのことにより健康寿命が延びるという効果があるかもしれないが,そのような効果を狙うのであれば,他の事業で伸ばした方が効果的であるように思う。加えて,生活実態の把握という効果については,イベントへの招待状の配布等で賄えると考えられ,やはり現金を支給する必要性はないと考えられる。 【高齢障がい課長】 概ねご指摘のとおりであるが,励みにしている人がいるのも事実である。また,安否確認ついても,副産物的な効果として重要なものであると思う。 【委 員 長】 生活実態の把握ということだが,敬老金は本人に直接渡しているのか。また,安否確認について,どの程度行うことができたかを示すデータ等はあるか。 【鈴木主事】 本人に渡しているがご不在の場合は家族に渡している。また,ご質問のようなデータはない。 【委 員 長】 敬老金を郵送することはないか。 【折本主事】 ない。ただし,振込はありうる。安否確認の一例として,一見して廃屋に見える家屋に,人が住んでいたことが分かったということがあった。普段はドアを開けてくれない人も,お金がもらえるならということで初めて顔が見えたという例もある。 【尾花委員】 厳しいことを申し上げるようだが,そのような例があるといってもそれが何件あるかというデータが示されないと説得力がない。例えば,極めて少ない件数であれば,別の対応が取れるのではという議論が出かねない。また,話が戻るが,資料をみると,高齢化社会に伴う長期的な対応についての回答として「検討する必要がある」とあるが,これは当然のことであって答えてないのも同じである。どういうタイミングになれば検討していくのか具体的な見通しを立てる必要がある。早く見直さなかったがために財政を圧迫してしまうこともある。担当者も含め,全員がこの手法でなくても良いと思っているのに止められないということであれば,組織として問題である。そのために,客観的なデータを準備し,考えるタイミングを見ていくことが必要である。 【小島委員】 支給対象年齢について,99歳以上というのは,以後毎年もらえるのか。高齢化社会に伴い,財源は右肩上がりで増えていくことが予想される。止めどきが難しいとは思うが,健康寿命を延ばす事業に重点を置くべきでは。 【委 員 長】 仰るとおり,このままいけば,支給対象者が増えて財政を圧迫する。客観的なデータを示し,事業のあり方を早急に検討すべきである。
■事業② 高齢者福祉大会 【委 員 長】 実施したことによって,どのような効果が見えたか。 【高齢障がい課長】 狙いとしては,高齢者に外出の機会,交流の機会を提供するといったことを考えているが,結果としてどういう効果が見えたかというところまで把握はしていない。 【折本主事】 民生委員を通じて,普段は外出しないがこのイベントのために外出した等の声を聞くことから,外出のきっかけにはなっていると思う。 【委 員 長】 事業の課題として,経験の少ない職員が受付業務等を行っていることとあるが,目的に沿った課題としては適切でないと思う。 【高齢障がい課長】 課題設定としては適切ではなかった。課題としては,今後,高齢者が増えていくことについてどのように対応していくかということがある。他市では2日間実施しているところもある。また,全対象者に対しての参加者数は多いとはいえず,どう誘い出すかというところについても検討する必要があると考えている。 【委 員 長】 武蔵野市は,安否確認を兼ねて招待状を配布している。先程の敬老金事業について,安否確認も兼ねるということであったが,このような方法でも行うことができる。また,同時に誘い出すことによって参加率を上げることや地域の繋がりを作ることにもなるのではないか。本事業は,直営で実施しているが,経費は多くなく,努力はされていると思う。また,他の団体との協力等で効果向上が期待できる。 【高齢障がい課長】 ご意見として承る。 【楫取委員】 イベント内容として,高齢者向けの体操などは行っているか。身体機能の維持に繋がることから考えてみては。 【高齢障がい課長】 催し物の間では,警察による交通安全による講座等を行ったが,体操は行っておらず,検討していきたい。 【原田委員】 一つではなく,いろんな種類のものがあっても良いと思う。NPO等と協力することで,様々なタイプのイベントを作ると同時にNPOに力をつけてもらうことができる。そのために,予算を増やして間口を広げるなど,積極的に仕掛けていくべきであると思う。 【委 員 長】 満足度等の調査はしているのか。また,来ない人になぜ来ないかを把握したことはあるか。併せて,やってほしいプログラムなどを調査してみては。 【高齢障がい課長】 そのような調査は行っていない。 【尾花委員】 高齢者に対し,イベント会場でアンケートをとるのは難しい面があるのか。 【折本主事】 身体的な負担も考えると,その場で書いてもらうのは難しい。返送を伴う調査も難しいと思われる。 【尾花委員】 福祉事業は,必要性は認められやすいところであると思うが,止められなくて困っているという声を多く聞く。その時に必要なのは客観的なデータである。イベントにどれくらいの人がいなかったか簡単にカウントするだけでも,残すべき事業を検討する際に役に立つときが来る。 【谷田部委員】 毎年8月末に案内状を出すとのことだが,毎年の作業ということであれば,もう少し前倒しできるのではないか。 【小島委員】 実施時期について,9月は猛暑・台風等の恐れがあることからずらすことはできないのか。 【高齢障がい課長】 検討できないわけではないが,一方で,毎年同じ時期にやることで高齢者の混乱を防いでいる面もある。 【副委員長】 今後,高齢化社会に伴い,引きこもり老人,独居老人が大きな問題となる。このような高齢者が増えると保険料が増大することもあり,外出を促し,健康寿命を延ばすことについては意義があると思う。ただし,この事業の効果について,おそらく有効であると感覚的には分かっていることであっても,客観的なデータを示していくべきである。指標に設定されている参加者数だけだと,天候等の影響を受けやすいことから,例えば,満足度,この事業によって外出する習慣がついたか,何回目の参加か,どれくらいの年齢の方が来ているか等のデータを示していただきたい。また,効果的に外出を促していくには,他のNPO等のネットワークを活かしていく必要がある。 【委 員 長】 民生委員に聴き取り等はしているか。 【折本主事】 聴き取りはしていないが,検討委員会には民生委員も参加しており,ご意見を頂いているところである。 【尾花委員】 民生委員が気に掛けている人が会場に来ているか,といったことを把握するだけでも,事業を検証する際に役に立つと思う。
■事業③ 入浴券 【委 員 長】 月に4回の利用ということだが,利用者の声は。 【鈴木主事】 今後も続けてほしいという声を頂いている。 【尾花委員】 入浴設備がない人が対象ということだが,所得は把握しているか。 【鈴木主事】 所得制限はないので把握はしていないが,低所得の方が大半であると思う。 【尾花委員】 所得があっても,自宅以外で入浴しているために入浴設備が必要ない,壊れても直さないという人も考えられないわけではない。 【副委員長】 入浴交付枚数の利用率は85.9%ということであるが,この数値を高いとみるか低いとみるかという点がある。本当に入浴できない方が利用しているのであれば,100%近くになるのではないか。 【鈴木主事】 交付後に転出した方や亡くなられた方,施設入所された方もいる。その数を換算すると95%近くになると思う。 【委 員 長】 入浴設備が故障している対象者は単身者か。 【鈴木主事】 単身者でない方もいる。そのような方については,家族の方も対象要件に合えば交付している。 【副委員長】 入浴設備が故障している限りずっと支給するのか。 【鈴木主事】 支給する。 【原田委員】 本当に入浴設備がないのか,故障しているかのチェックは行っているか。 【鈴木主事】 本人宅を確認している。 【谷田部委員】 最初の交付決定以降の状況確認はどうなっているか。 【鈴木主事】 継続して交付されている方については,3年ごとに現場確認を行っている。 【委 員 長】 壊れている限り交付するということであるが,これを修理費の補助等とすれば,長期的にみてコスト減となるのでは。 【副委員長】 所得要件があれば納得できるが,先に述べたとおり,所得があっても直さない人もいると思う。 【尾花委員】 利用できる公衆浴場は散開しており,それらも今後残っていくか分からない状況である。 【折本主事】 本事業とは別に,あいとぴあセンターの老人福祉センターにある入浴施設は週に3回利用でき.本事業と併せて利用している方もいる。ただし,あいとぴあの入浴設備は,広いとはいえず,時間制限があり設備も新しいものとはいえない。 【尾花委員】 あいとぴあの入浴設備が利用できる中で,本事業の意義を明確にすべきである。客観的にみれば,あいとぴあの入浴設備を使えば良いのではという意見もあると思う。 【鈴木主事】 あいとぴあから遠い場所に住んでいる方が利用しにくい。 【尾花委員】 その時間だけバスを回す等の意見も出てくる。 【折本主事】 本事業とあいとぴあの入浴では,余暇と衛生保持と目的が異なる。 【尾花委員】 市民から見たら変わらないと思う。残していくべき事業であれば,データを整理すべきである。 【委 員 長】 あいとぴあを利用することで,本事業を止めることもできるのでは。そして,その財源をあいとぴあの施設改修やアクセスの向上へ使うこともできるのでは。 【副委員長】 他の自治体で,福祉施設で行っていた入浴サービスを利用券に代え,コスト減を実現した例がある。やはり客観的なデータを基にした検証が必要である。また,あいとぴあに一極集中とすることで,コミュニティが出来るなどの意見もあると思う。 【石森委員】 申請件数は92件ということだが,世帯としては何世帯か 【鈴木主事】 3件ほど同一世帯の利用者がいたと思う。 【唐川委員】 本当に自宅で入浴できない人に対しては有効だと思う。 【小島委員】 公衆浴場で入浴券を出しにくい人もいると思う。シルバーパスと組み合わせる方法もあると思う。 【谷田部委員】 先の意見で出たが,広いところで入浴したいということになると,本来の目的とずれてくると思う。 【委 員 長】 事業を止めた方が良いと考えたことは。 【鈴木主事】 利用者の入浴が減り,衛生保持が低下すると思われる。 【楫取委員】 支給を受けた者が他人に譲渡して,本来の対象者と異なる者が利用することは。 【鈴木主事】 完全に把握することはできない。
(担当部署職員退席)
【委 員 長】 全体を通して,必要性,効果を図るために客観的なデータが必要である。 【小島委員】 1回実施した事業はなかなか切り替えることができないのだなと感じた。しかし,高齢化社会が進む中で,方向を模索して計画をたてて慣習を少しずつ変えていかなくてはならない。この議論を活かしてほしい。 【唐川委員】 事業ありきで,後付けでニーズを持ってきている印象を受けた。 【尾花委員】 福祉分野だからこそ客観的なデータによる建設的な議論が必要となる。 【原田委員】 一度始めた事業を止めるのは難しい。担当課も予算編成のロジックで動いているので,それを責めても解決にならない。例えば,企画分野で引き取ることや,必要なものに弾力的にシフトできるような予算編成の仕組みづくりを検討する必要がある。 【楫取委員】 高齢化社会となり,昔と同じことを継続的にするのは違うと思う。いつ見直すかという点を含めて長期的なビジョンをもつべき。 【谷田部委員】 唐川委員が仰ったとおり,事業ありきの印象を受けた。また,必要性,効果の追及が甘い。毎年やっていることだから流れ作業になっているのでは。今回の議論を事業検討のきっかけにしてほしい。 【石森委員】 いくつか安否確認という話があったが,年に1回では効果も薄いように思う。また,敬老金事業について,おそらく事業開始時は,自治体間で差がなかったように思うが,今は違う。他市では見直しを行ってきたのだと思う。当市でも節目支給にした経緯はあるが,検証を進めるべきである。 【副委員長】 全体的に今後の動きについて「検討する」といった抽象的なものが多い。必要性,効果の検証について,外部評価が強く指摘することによって,意識改革に繋がればよいと思う。外部評価は,事業を切るツールではなく,組織の意識を変える機会を与えることも重要な役目である。 |