1 日時 平成25年3月4日(月) 午後6時15分~7時20分
2 場所 市役所3階 301会議室
3 出席者

委 員 長  森 安彦
副委員長 菅原 昭英
委  員 新井 勝紘、稲葉 和也、井上 孝、田中 英利子、谷川 章雄、坪西 由美子、冨永 春芳 
事 務 局  浅見 文恵、宇佐美 哲也、清水 聡(市史編さん室)

4 欠席者 なし
5 議題 1.狛江市市史編さんについて(答申案)
2.その他
6 提出資料 1.狛江市市史編さんについて(答申案)
2.平成24年度第3回狛江市市史編さん委員会会議録
7 会議の結果

委員長が議長を務め、議事を進行。議長、開会を宣言。

議題1 狛江市市史編さんについて(答申案):資料1
・事務局から答申案の概要を説明。
(1)近郊都市化の進展に関して
・委員から、前回の市史編さんでは取り上げることのできなかった、昔から狛江に住む住民と郊外化が進む段階で転入してきた住民との間にあった様々なあつれきについて、だいぶ時間も経過しており、双方客観的な視点で振り返ることができる状況になってきたことから、新しい市史には、改めて双方の間にあったあつれきとは何だったのか整理し、未来にどのように生かしていくことができるのかといった視点を盛り込みたいとの意見が出された。
・かつては、郊外化の流れで転入してきた人々に対して、「移住者」「来たり者」といった言葉があったが、現在ではほとんど使われることがないほど、狛江の住民は入れ替わってきており、古くからの地域住民と都市化の過程で転入してきた住民との関係を取り上げても支障がなくなってきたのではないかといった意見が出された。
・現在では、数からいうと新住民が多いが、いろいろな形で繋がりができてきているため、お互いに境界があるとは言えなくなってきている。かつては生活感覚もかけ離れていたが、現在では農家とサラリーマンとの間でも生活感覚は大きく異ならない状態になってきているため、昔の経験を次の時代にどのように生かして行けるのか考えられるような市史にしたいとの意見が出された。
・新住民と言われる人の中でも、市内で生まれ育った人は「来たり者」としての扱いを受けることに反発を感じることがあり、世代ごとに意識は変わっていくものであるため、古い世代の意識がいかにして解体し均質化していくのかを明らかにすることも歴史であるとの意見が出された。
・委員からは、住宅地の成立時における新住民の歴史が自治体史に取り上げられることはほとんどないため、そのような視点は是非盛り込んでいきたいとの意見が出された。
・委員からは、旧・新住民は一見して融和しているように見えるが、旧住民側には未だにしこりがあることもある。新住民が主体となって行っている活動に対して、批判的な視点もあることから、新しい活動ばかりを取り上げるのではなく、旧住民がやってきた古くからの活動とのバランスを取って編さんを進めていく必要があるとの意見が出された。
・以上の議論を受けて、東京の近郊地域では、多かれ少なかれ旧・新住民の対立を抱えており、今回の市史では、未来へとつなげる視点として、問題意識を持って取り組むということを答申案に盛り込むべきであり、答申案の「2.市史編さん事業の基本構想 (2)」に「新旧住民の境界解体、均質化など」という文言を加えることになった。
(2)編さん対象の範囲について
・委員長から、市史で扱う範囲はどこまでにするのかとの問題が提起された。
・委員からは、現在の狛江にとっての大きな分岐点となる時期までを含めないと、現在の狛江のことがわからないとの意見が出され、具体的には、小田急線の複々線立体化が景観上もっとも大きな変化であったことから、そこまでは取り上げる方がよいとの意見が出された。
・いつまでを編さんの対象とするのかについては、特段定めるのではなく、「2.市史編さん事業の基本構想」に、「近郊住宅都市としての狛江地域の発展過程を視野に入れた歴史叙述が必要」との方針で行うこととなった。
(3)民俗の叙述の方法について
・委員から、近現代分野と民俗分野とのあいだで、叙述の仕分けを考える必要があるとの意見が出された。また、祭礼の形態が変容してきている点や、氏子が地域に開放されているのかなど、古い視点だけではなく、現在に繋がる民俗学の問題として記載する必要があるとの指摘がなされた。
・また、民俗的には、旧村ごとに土壌が異なり、民俗も異なる。旧市史では、旧和泉村を中心に取り上げているが、村ごとに生活誌・人情等に違いも見られるので、バランスよく取り上げていくべきとの意見が出された。
(4)資料編の刊行計画について
・委員から、寺社関係の史料は、近世編では「○○神社文書」というように所蔵者別に編集し、近現代編では年代ごとに配分して掲載することになるのかとの質問が出された。事務局からは、編集専門委員会における議論を踏まえ、今後の史料の集まり具合や作業の進捗状況に応じて検討をお願いしたい旨を説明をした。同様に、近現代の資料を年代順に編集するのか、教育・文化・寺社といったテーマ別に編集するかといった点についても、実際に史料を集めていく段階で、編集委員会において議論をお願いしたい旨説明した。
・委員から、近現代の日記は年代幅があることから、後に編集専門委員会で資料編の編集方針を決めていきたいとの意見が出された。
(5)その他
・委員から、答申に「狛江らしさ」を盛り込んでいければとの意見が出されたが、答申案には具体的な表現はないものの、自然環境や人々の営み、旧・新住民といった表現を入れており、市史を編さんする過程で「狛江らしさ」は自ずと浮かび上がってくるべきものであり、委員長からは、編さん過程の中で、結果として「狛江らしさ」というものが歴史的に総括されることになればよいとの意見が出された。

議題2 その他
(1)答申後の流れについて
・答申案を修正して市長へ答申を提出する。市長が答申を受けてから、1カ月程度の期間を設けパブリックコメントを実施することを説明した。
・パブリックコメントの結果は、平成25年度第1回目の本委員会にて報告をする。
(2)民俗専門の編さん委員と編集専門委員の委嘱について
・事務局から、編さん委員として中島恵子氏を、編集専門委員として長沢利明氏を委嘱したい旨を報告し、了承を得た。
(3)市史編さん関連講演会について
・3月2日に新井委員による講演会が行われ、参加者64名と盛況であったことを報告した。3月23日に森委員長による講演会を行うことと、市民に関心を持ってもらうためにも、平成25年度以降も講演会を実施していきたいとの話をした。

議長、閉会を宣言。


狛江市市史編さん委員会委員 名簿

肩書 選任の区分 氏名
  委員長 学識経験者 森 安彦
  副委員長 学識経験者 菅原 昭英
  委員 学識経験者 新井 勝紘
  委員 学識経験者 稲葉 和也
  委員 文化財専門委員 井上 孝
委員 公募市民委員 田中 英利子
委員 学識経験者・文化財専門委員 谷川 章雄
委員 公募市民委員 坪西 由美子
委員 文化財専門委員 冨永 春芳