令和8年8月26日(水曜日)開催の狛江市議会第3回定例会において、松原市長は4年間の市政運営に向けて所信を表明しました。
 以下は、その全文です。

 


 6月28日に執行されました狛江市長選挙において、多くの市民の皆様に温かいご支援をいただき再選を果たすことができました。選挙期間中におきましては、年代を問わず多くの方から狛江市は良くなったとの声をいただき、これまでの市の取組を評価いただいたものと受け止めています。この度3期目の市政を担うにあたり、その職責の重さを改めて感じているところですが、狛江市議会第3回定例会の開催にあたり、3期目4年間の市政運営に向けた所信を申し上げます。

市政運営

 

 日本の経済は全体として緩やかな回復基調にあるものの、不安定な国際情勢に起因する原油・資源価格の上昇が物価高騰を招き、食料品や光熱費など日々の暮らしに直結する市民の皆様の負担感は、依然として大きいものがあります。今後の見通しについても不確実性が残る中、市政に強く求められているのは、第一に「市民の暮らしを守ること」です。

 物価高騰が長期化する中、市民生活や市内事業者に与える影響は深刻さを増しています。この問題に対しては、国が責任を持って必要な対策を講じることが求められるのは当然ですが、基礎自治体としても、市民や事業者等の負担軽減に向けた対策を速やかに実施する必要があることから、先の狛江市議会臨時会に提案し、可決いただいた補正予算の物価高対策を実行してまいります。今後も国や東京都の動向を注視し、適時適切な対応を図ってまいります。

 また、少子高齢化や気候変動に伴う災害リスクの増大、さらには地域のつながりの希薄化など、昨今の社会情勢により、市民生活を取り巻く環境は大きく変化しています。このような先行き不透明な時代において、持続可能な行政運営を進めるためには、何より安定した財政基盤の確立が不可欠です。これまでの堅実な財政運営により、私の市長就任前である平成29年度末と令和7年度末を比較しますと、基金残高を約55億円積み増すとともに、市債残高を約44億円圧縮することにより将来負担の軽減に努めるなど、本市の財政状況は着実な改善を図っています。しかしながら、11月に開設を予定している新設図書館や今後整備予定の(仮称)西和泉スポーツ施設のほか、近い将来には魅力ある学校づくりを目指し小中学校施設の適正規模・適正配置に伴う計画的な建て替えが控えており、新たな財政需要が生じることも見据えなければなりません。引き続き、市民サービスと財政負担の最適なバランスを考慮し、中長期的な視点に立った規律ある財政運営を貫いてまいります。

 

豊かな生活環境づくり

 

 本市の大きな魅力は多摩川です。狛江の自然、歴史、文化、そして人々の営みをつないできた多摩川を活かした「かわまちづくり」を国と連携しながら進めることにより、この豊かな資源をさらに磨き上げ、市民にも来訪者にも愛される空間へと高めてまいります。「感じよう。伝えよう。多摩川で過ごす“狛江時間”」を基本理念に、世界最古のステラーダイカイギュウの化石の発見地であることを活かした市の魅力発信や、多摩万葉大茶会の開催などを通じ、多摩川を中心に新たな賑わいと人の流れを創出します。

 市の玄関口である狛江駅周辺につきましては、北口エリアの「ほこみち事業」等による賑わい創出に加え、南口も含めた一体的かつ魅力的な将来像をお示ししてまいります。また、市内の地域公共交通につきましては、全国的な運転士不足を背景としたバスの減便等が切実な課題となっています。これに対し、地域公共交通計画を策定するとともに、デマンド交通の実証事業等を通じて、本市の実情に合った持続可能な移動手段の確保に努めてまいります。

 新たな魅力と価値の創出として、昨年にリニューアルオープンした「こまえみらいテラス」は、多世代交流の場として多くの方に利用いただいており、また11月に開館予定の新設図書館では、大人向けのサービスの拠点として市民の知的好奇心を掻き立て、「こまえみらいテラス」にある「こまえみライブラリーKid’s」では親子が本にのびのびと触れられる機会を提供し、共に市民の笑顔があふれる「狛江の小さな宝箱」になることを目指します。

 さらに、今後整備予定の(仮称)西和泉スポーツ施設につきましては、室内温水プールを備えたスポーツ・交流拠点として、市民の健康づくりを支え、多世代が自然に交流できる場として育ててまいります。同時に防災機能も充実させ、平時にも災害時にも地域をしっかりと支える施設として整備を進めます。

 

安全で安心して暮らせるまちづくり

 

 市民の生命と財産を守り抜くため、防災対策の強化に全力で取り組みます。先日発災した令和8年熊本地震においては、災害時相互応援協定を締結している熊本県宇土市に対し、物資支援、人的派遣を迅速に実施しましたが、被災された方々が一日も早く日常を取り戻せるよう、市としてもできる限りの支援をしてまいります。台風や集中豪雨も多く発生していますが、令和8年8月千葉豪雨では記録的な大雨による甚大な被害が生じました。本市でも大きな被害が発生した令和元年東日本台風の教訓を決して風化させることなく、浸水対策をはじめとする災害に強い都市基盤の整備を進めます。あわせて、自助・共助・公助の連携強化と防災体制の充実を図り、災害に強いまちづくりを総合的に推進します。

 また、防犯活動の推進にも力を注ぎます。地域における見守りや啓発活動を通じた防犯意識の向上に引き続き取り組み、犯罪を未然に防ぎ、子どもから高齢者までが心から安心して暮らせる「犯罪の少ない安全なまち」をさらに進めてまいります。

 近年、気候変動に伴う記録的な暑さにより、最高気温が40℃以上の日を「酷暑日」とするなど地球温暖化の影響は深刻さを増しており、熱中症が市民の生命を脅かすとともに記録的短時間大雨による災害リスクも高まっています。「ゼロカーボンシティ宣言」を踏まえた地球温暖化対策を着実に進めるとともに、新たな公共施設の整備においては、環境配慮や省エネルギー基準に適合させることでエネルギー消費量の抑制に取り組みます。また、猛暑日が日常化する中での熱中症対策にも、引き続き万全を期してまいります。

 そして、多様性を尊重する社会づくりを進めます。性別、国籍、文化、障がいの有無、年齢などにかかわらず、一人ひとりが互いに尊重され、自分らしく活躍できる社会こそが「人にやさしいまち」の本質です。市民参加と市民協働の裾野をさらに広げ、多様な主体が支え合い、認め合いながら、安心して暮らせる地域社会を目指してまいります。

 

子ども・若者とともに生きるまちづくり

 

 未来を担う子どもたちが自分らしく安心して育つ環境を整えることは、すべての世代の穏やかな暮らしへとつながっていきます。「狛江市子どもの権利条例」の理念を着実に実践し、子どもがありのままに、安心して過ごせるまちを目指します。

 現在、工事が進められている多摩川住宅の建て替えにより一時的な人口増加は見込まれるものの、将来的には人口減少が予測される中、減少傾向にあった新生児の出生数が、昨年は増加に転じました。この兆しを確かなものとするため、子どもを授かることを望む方への支援をはじめ、妊娠期から出産、子育てに至るまで切れ目のない支援を展開し、保護者が安心して子どもを育てながら働き続けられる環境を整えます。共働き家庭が直面する保育所と学童クラブの待機児対策は引き続き取り組むとともに、「小1の壁」の解消を図ることにより、子育て世代の不安を軽減してまいります。

 あわせて、未来を支える若者の居場所づくりにも注力いたします。中高生が自分らしさと「挑戦」を自分で見つけられる空間である「ティーンズルーム」などの居場所の充実を図ります。地域の中で自分の存在が認められ、安心して人や社会とつながれる場を広げることで、子ども・若者が孤立することのない温かい社会を築いてまいります。

 

いつまでも健やかに暮らせるまちづくり

 

 本格的な人生100年時代を見据え、いつまでも健やかに暮らせるまちづくりを推進します。高齢化や単身世帯の増加が進む中、地域のつながりの重要性はますます高まっています。市民一人ひとりが地域の課題を自分事として受け止め、互いに支え合い、つながり合える地域社会を築いてまいります。孤立を防ぎ、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域福祉の基盤をさらに強化いたします。

 また、生涯を通じた健康づくりを支援します。運動習慣の定着や口腔ケアの充実等を通じて健康寿命の延伸を図り、楽しみながら続けられる健康づくりの輪を広げることで、いつまでも元気に暮らせる環境を整えてまいります。

 さらに、誰一人取り残さない社会の実現に向け、包括的な相談支援体制をより一層充実させます。年齢や障がいの有無、生活上の困難にかかわらず、必要な支援に確実につながる仕組みを整え、誰もが自分らしく、生き生きと暮らせる共生社会を育んでまいります。

 

今後に向けて

 

 私はこれまで、一貫して「人にやさしいまちづくり」を政治信条に掲げ、第4次基本構想が目指す将来都市像「ともに創る 文化育むまち~水と緑の狛江~」の実現に全力で取り組んでまいりました。3期目におきましては、引き続き、市民の暮らしを守ることに全力で取り組むことに加え、さらなる「生活の質の向上」を目指して、市民一人ひとりが安心して快適に、そして笑顔で暮らせるまちづくりを力強く推進してまいります。

 そして、時代が大きく変化し、複雑化する中、行政の力だけでは解決できない課題も増えています。だからこそ、第4次基本構想の将来都市像に掲げる「ともに創る」ことが、これまで以上に重要となります。そのためには、市民の皆様、市議会の皆様、そして行政が、同じ方向を向き、知恵を出し合いながら取り組んでいくことが必要です。

 市民一人ひとりが輝き、誰もが「狛江に住んでよかった」「これからも狛江に住み続けたい」と心から思える「人にやさしいまち」の実現に向け、市政運営にまい進していく所存でございますので、今後ともより一層のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。