令和8年度所信表明
2月20日(金曜日)開催の令和8年狛江市議会第1回定例会において、松原市長は令和8年度における狛江市の市政運営方針について所信を表明しました。
以下はその全文です。
令和8年狛江市議会第1回定例会に当たり、令和8年度狛江市一般会計予算案の概要等の説明を中心に、新年度における狛江市の市政運営方針を申し上げます。
令和7年度は多くの施設がリニューアルされました。新本館が竣工した東京慈恵会医科大学西部医療センターでは、地域の基幹病院として高度な医療が総合的に提供されることとなりました。小田急線狛江駅改札前の耐震工事が完了したことで、ほこみちエリアを含む狛江駅周辺では更なる賑わいが生まれています。そして、昨年11月にリニューアルオープンした「こまえみらいテラス」は、多世代交流の場として多くの人に愛される施設となり、新たな魅力と価値が創出されています。
令和8年度は、長年の懸案だった「新図書館」がオープンする予定で、新しい技術を活用した時代に合った様々な機能を備えた、利便性の高い施設として整備してまいります。また、改修に伴いご不便をおかけしておりましたが、狛江市民総合体育館の大規模改修も終了する予定となり、快適で安心してご利用いただけるほか、災害対応も強化された内容となっています。(仮称)西和泉スポーツ施設の建設に向けても、計画で定めたスケジュールに合わせて着実に進めます。
市として地域に新たな魅力と価値を提供するために公共施設の整備は大切ですが、すべての世代が健やかで安心して暮らし続けられる地域社会を実現するためには、ソフト面での事業も重要です。子育て環境の充実や地域文化・コミュニティの活性化、福祉・教育、健康増進の促進を通じて、共に支え合い、豊かな暮らしを目指します。
地方財政をめぐる動きと狛江市の令和8年度予算案の概要
日本の経済は、名目GDPが600兆円を超え、賃上げ率も2年連続で5%を上回るなど、「デフレ・コストカット型経済」から、その先にある新たな「成長型経済」に移行する段階まで来ており、財政状況についても、プライマリーバランスは改善傾向にあります。しかしながら、潜在成長力は伸び悩み、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、食料品を中心とした物価上昇により、個人消費は力強さを欠いている状況が続いており、生活の安全保障・物価高への対応など「強い経済」の実現が強く求められています。このような状況の中、国が示した予算編成の基本方針では、「経済財政運営と改革の基本方針2025」における重要政策課題に加え、高市内閣が掲げる「強い経済」の構築に向けた重要施策に対して必要な予算・税制上の措置等を確実に講じ、「経済・財政新生計画」に基づき、歳出・歳入両面から改革を推進するとされています。地方財政対策としては、物価高が続くとともに、社会保障関係費や人件費の増加等が見込まれる中、地方公共団体が、様々な行政課題に対応しながら、行政サービスを安定的に提供できるよう、交付団体を始め地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、経済・物価動向等を適切に反映し、令和7年度を上回る額が確保されています。また、財源が確保されたことで、臨時財政対策債は、前年度に引き続き、新規発行額が生じておりません。
狛江市の令和8年度一般会計予算案は、392億600万円、前年度比28億6,400万円、7.9%の増となり、過去最大の予算規模です。下水道事業会計を除いた特別会計の合計額は181億9,562万5千円であり、一般会計と合わせた総額は、574億162万5千円、前年度比34億3,374万5千円、6.4%の増となりました。歳入では、個人市民税は給与所得や納税義務者数の増、所得割の大幅な増、法人市民税も企業収益が堅調に推移しているため増加しています。固定資産税では、家屋の新増築の増、市税全体では、過去最大を見込んでいます。歳出では、子育て支援の充実など、社会保障関係費に係る予算を大幅な増としているほか、新図書館新築工事や市民総合体育館改修工事、文化財等保管施設新築工事など普通建設事業費が顕著に伸びた予算案となります。
令和8年度予算案の主な取組等について
次に、令和8年度予算案の主な取組等について、説明申し上げます。
人権・平和、参加・協働
初めに「人権・平和、参加・協働」です。子どもの権利が大人と同じように保障されるべきであることを改めて確認し、子どもが権利の主体として、子どもと大人が互いに尊重しともに生きていくことができるまちを目指すことを目的とした狛江市子どもの権利条例が、令和8年4月1日から施行されます。条例の施行を踏まえて、周知啓発を図るために、子どもの目線で分かりやすい動画を作成するワークショップや、子どもの居場所などへのアウトリーチによる普及啓発イベントを実施します。また、人権尊重の精神と自由に意見を表明する権利の理解を、子どもたちに深めてもらうため、「こどもたちからの人権メッセージ発表会」を実施します。平和文化の振興を図るため、多摩地域との連携した取組を継続するほか、平和に関連する映画の上映会を実施します。参加と協働では、市内の外国人と市民、外国人同士の交流を促進し、相互理解を深めるため、国際交流協会等と連携した交流イベントを開催します。また、市のホームページでは、平常時だけでなく災害時の安定稼働も見据えて、サーバーをクラウドに移行するほか、日本語に不慣れな外国人等への情報伝達の対応として、やさしい日本語変換ツールを導入します。
防災・防犯
次に、「防災・防犯」です。災害対策として、長野県茅野市と消防団の合同訓練を通じて、大規模災害時の連携強化を図り、災害時の即応力を高めてまいります。また、地域の消防力を維持・向上させるため、消防団と連携する地区消防隊に配備された可搬ポンプ及び専用積載車を更新し、地域の安全確保に努めてまいります。浸水被害の再度災害防止に向けた浸水対策では、止水板設置工事費の補助金を拡充し、南部第2排水区の都市計画変更や、根川排水区の詳細設計・準備工事を行い、浸水対策を強化します。また、総合地震対策計画に基づく下水道管渠の耐震診断・工事を実施し、災害に強いインフラを整備します。
特殊詐欺被害防止に向け、啓発チラシを作成し全戸配布するほか、市内デザイナーと連携し、デザイン性の高い通帳ケース等を作成し、高齢者等への注意喚起を図ってまいります。また、多摩川堤防天端道路に新たに街路灯を2基増設し、合計4基を設置することで、防犯効果を高め、千人当たりの刑法犯認知件数が都内市区で一番少ない安全なまちを目指します。
地域振興
次に、「地域振興」です。市民まつりは、昭和52年の開始から50回目を迎えるため、「つながる記憶、つむぐ未来」と題した記念企画を実施します。また、「音楽の街-狛江」活動が20周年となることから、記念コンサートをエコルマホールで同日に開催します。狛江駅前については、狛江駅北口エリア利活用推進事業として、こまえ‐エキマチビジョンに基づき、「エキマチカイギ」を軸にした、地域の活動団体間の連携及びデータ活用に向けた基盤整備を行うとともに、えきまえ広場を含む狛江駅周辺の公共空間の一体的な活用を図るための手法を検討します。万葉にゆかりのある地域として、万葉文化の魅力を発信するため、狛江の景勝地である多摩川を背景に、大茶会を開催します。多摩市・相模原市と連携して、「花手水」を活用した魅力発信事業を実施します。商業振興については、小規模事業者の経営改善や課題解決を図るため、中小企業診断士や社会保険労務士等が出張して相談対応を行う商工会の「専門家派遣事業」に対して試行的に補助し、事業ニーズを把握してまいります。
子育て、学校教育
次に、「子育て、学校教育」です。子どもを授かることを望む方が安心して不妊治療を受けられる環境を充実させるため、不妊治療費等に係る自己負担額への費用助成を開始します。また、妊娠から出産、子育て家庭を支える切れ目のない支援を行う観点から、乳児のRSウイルス感染症の発症及び重症化を防ぐため、妊婦に対するRSウイルスワクチンの定期接種の実施や、公費負担による産婦健康診査や1か月児健康診査の実施、産後ケア事業が利用できる施設の拡充や居宅への訪問型サービスを開始します。また、妊婦や乳幼児親子が気軽に集い相談できる場所として、「出張ひろば」を実施します。DXによる行政サービスの向上として、母子手帳アプリへの乳幼児健診サービスの追加や、子どもを中心とした各分野の相談記録等の一元化により、発達や成長過程に応じた効果的な支援につなげるための子ども総合相談システムを導入します。
子育て環境の充実については、保護者の就労要件を問わず保育園や幼稚園を一定時間まで利用できる乳児等通園支援事業、通称「こども誰でも通園制度」を開始します。令和9年度に開設予定の私立認可保育所と病児保育室の整備費の補助を行います。発達に課題を抱える子どもや困りごとを抱える子どもを支援するため、発達サポーターの小学校への派遣先を拡大します。また、児童発達支援センターでは、支援の必要な子どもが早期に療育を受けられるよう、保護者の利用ニーズに合わせて、並行通所クラスを増やします。学童クラブの待機児対策としては、学童保育所や小学生クラブの弾力的な受入児童数の拡大により待機児の削減に努めます。また、公営で運営している放課後クラブを公設民営の小学生クラブに移行し、開所時間の延長などのサービスを拡充します。
市独自の経済的支援として、出産祝い金制度、認可保育所の3歳以上の副食費の無償化、窓口負担を含む医療費の無償化、学校給食費の無償化などを通じて、子育て世帯の負担をより効果的に軽減する施策を実施します。令和8年度もこれらの取組を継続します。
学校教育では、GIGAスクール構想の一環で導入されている、一人一台の学習者用のタブレット型端末ですが、活用の幅が広がり、それに応じたネットワーク環境を整備するために、令和7年度に実施したネットワークアセスメントの結果に基づいて、小・中学校全校においてネットワーク機器の入れ替え等による環境改善を図ります。集団宿泊行事などで宿泊費が高騰しているため、夏季施設等事業補助金を拡充します。また、新たに小学校5年生を対象に森林環境学習体験事業を実施します。令和7年度から全市立小学校の5・6年生を対象に実施している、民間屋内プール施設を活用した水泳指導を引き続き実施します。計画的に実施している小中学校の工事は、小学校では、狛江第六小学校大規模改修一期工事、緑野小学校改修一期工事に向けた設計を行います。中学校では、狛江第一・第四中学校空調整備工事、狛江第三中学校大規模改修二期工事に向けた設計、令和7年度からの繰越事業で、狛江第三中学校大規模改修一期工事を行います。
保健・福祉
次に、「保健・福祉」です。地域福祉の担い手として重要な役割を持つ民生委員・児童委員の多様化する活動を支援するため、活動費を増額します。令和7年度に実施した調査結果等の分析を踏まえ、第10期介護保険事業計画及び第8期障がい福祉計画、第4期障がい児福祉計画等を策定します。昨年10月から開始しました単身高齢者等支援事業の安定的な運営、また、福祉サービス総合支援事業の体制を強化し、社会福祉協議会で実施する地域福祉権利擁護事業の待機者減に取り組みます。精神障がいの方にも対応した地域包括ケアシステムの構築及び協議の場を設置し、メンタルヘルスを含む地域課題を関係者で共有・協議してまいります。避難行動要支援者支援事業では、新たな福祉避難所として、協定を締結した2つの民間施設への初度備品等を配備します。地域共生社会推進事業では、福祉カレッジ修了生同士のネットワーク形成を支援し、新たな地域活動への参加促進を図るため、フォローアップ企画を開催します。また、生活や福祉に関する課題を抱える住民の早期発見及び課題解決のため、コミュニティソーシャルワーカーと専門家によるテーマ型出張相談会を開始し、相談ニーズに応じた支援を実施してまいります。情報保障として、意思疎通支援事業の手話通訳者及び要約筆記者の派遣に関する報償単価を増額するとともに、新たに中途失聴・難聴者向け手話講習会を開催します。健康診査は、若年層においても増加している歯周病の早期発見及び発症予防のため、歯周病検診の対象年齢を「40歳以上」から「20歳以上」に拡大します。健康ポイント事業は、幅広い世代の健康意識の向上及び健康行動の促進を図るため、健康アプリを正式リリースするとともに、利用促進を目的とした機能拡充及び普及啓発を図ってまいります。
国民健康保険特別会計では、行動変容につながる未受診者に的確に訴求できるよう、特定健診受診勧奨通知業務を拡充します。また、40歳未満を対象とした健康診査を実施し、若年層の健康意識の啓発を図ります。後期高齢者医療特別会計では、高齢者の健康寿命延伸を目的に、後期高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業を拡充し、医療・介護データに基づくリスク評価を踏まえ、効果が見込まれる未受診者に受診勧奨を行うとともに、健診・医療受診・介護認定のいずれにも該当しない健康状態が不明な高齢者にアプローチし、フレイルリスクの早期把握と適切な支援を行ってまいります。介護保険特別会計では、社会資源把握システムを改修し、地域包括ケア情報発信の一元化を図り、介護サービスの向上につなげてまいります。
スポーツ振興、芸術文化、歴史
次に、「スポーツ振興、芸術文化、歴史」です。狛江市第4次基本構想で掲げる将来都市像の実現に向けて、市民参加・市民協働及び文化施策をより一層推進するため、地域文化スポーツ部を新設します。
現在、休館中の狛江市民総合体育館については、狛江市民プールが休場となるため、狛江第二中学校のプール開放日数を10日間から28日間に拡充します。改修の終了時期も10月となる見込みですが、リニュアールオープンに併せて記念イベントを実施します。市民の皆様の学びや暮らしを彩り、狛江の実りを未来につなぐ図書館の整備を進めています。新築工事は秋ごろに完了予定で、オープン記念として著名作家による講演会などの記念イベントを実施します。文化財や歴史資料等を適切に保管・管理するため、文化財等保管施設の整備を進めます。また、歴史的資源の適切な保護と継承のため、(仮称)白井塚古墳公園の擁壁設置工事を実施します。多摩川の川床から発見された世界的に希少なステラーダイカイギュウの化石については、広く周知するためのガイドを作成し、地域への関心や探求心を抱くきっかけ作りをします。地域に伝わる文化財を保存し、継承するだけでなく活用していくために、郷土芸能への支援を強化し、保持団体が取り組む技能伝承や後継者育成、郷土芸能の普及活動の活性化を図ってまいります。
自然環境、都市基盤
次に、「自然環境、都市基盤」です。2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロに向けた、ゼロカーボンシティ宣言を踏まえ、長野県茅野市及び小諸市との脱炭素社会の実現に関する連携協定に基づく施策を引き続き実施します。環境教育を推進するため、小学生に自然環境や脱炭素、森の役割などの学習機会を提供し、地球温暖化対策に対する実践意識の醸成や理解を深める小学生環境サミットを実施します。都市計画公園事業として行っている駒井公園は、一部の供用を開始し、引き続き市民の憩いの場となる魅力的な公園づくりを目指して整備工事を行ってまいります。西河原公園(水神前側)にあるコンクリート滑り台などの公園施設更新に向け、令和7年度に策定したリニューアル計画に基づく整備を進めるともに、第二期の整備に向けた実施設計を進めます。また、かわまちづくり計画に基づき、多摩川の市場性や利用ニーズなどの検証を続け、国の令和7年度補正予算措置に伴う施設整備を踏まえ、国と緊密に連携しながら多摩川エリアの将来像実現に向けて検討してまいります。
東京都が進める狛江団地の再生では、良好な住宅の供給を確保するために都市計画公園の変更に係る手続きを行います。狛江駅南口周辺地区整備推進関係費では、狛江駅南口周辺地区まちづくり方針(案)を基に、方針の策定に向けた市民意見の聴取や取組の検討、交通量調査を実施します。運転手不足などによる路線バスの減便といった喫緊の課題に対応するため、現状を把握・整理し、市民への理解を求めるとともに、持続可能な交通体系を構築するため、地域公共交通計画を令和8・9年度の2か年で策定します。次世代交通の可能性検証として、自動運転バスの実証事業に取り組んでいますが、令和8年度は引き続き、移動手段確保の有用性を検証するため、デマンド交通の実証運行にも取り組みます。
狭あい道路拡幅整備事業では、将来の市道整備に向けた道路空間を確保するために、道路後退用地の測量、分筆、簡易舗装等に係る費用を助成します。調布都市計画道路3・4・16号線(電中研前、岩戸北区間)では無電柱化や用地取得を進め、生活道路については、計画に基づいて改修を進めます。
行財政運営
次に、「行財政運営」です。令和7年度末の基金残高見込みは、約92億7,000万円です。前年度比で、約8億400万円、9.5%の増となります。令和7年度末の市債残高見込みは、約156億3,000万円です。前年度比で、約1億100万円、0.6%の減となります。引き続き規律ある財政運営に努めます。
カスタマーハラスメント対策、処遇改善や採用強化による着実な人財確保、平時・災害時をフェーズフリーにつなぐ通信手段を確保するため、クラウドPBXを市役所や小・中学校に導入します。DXの推進によるサービス向上として、スマートシティ・リビングラボ事業を継続実施することで、スマートシティの推進を図ります。また、地域コミュニティポイント(通称:こまポ)の本格導入により、ポイント付与対象事業の拡大や協力店の開拓を実施し、共助型コミュニティの実現を目指します。
さらに、新図書館の開館に併せて、図書館システムと連携したIC予約棚等のIC対応機器を導入し、利便性を向上させます。令和7年度に導入した新しい公共施設の予約システムやスマートロックの本格稼働に伴い、安定した運用のための支援を行います。歴史的資料や刊行物等のアーカイブ資料を広く市民に公開し、活用してもらうために、情報公開プラットフォームを導入します。
今後に向けて
前任期では新型コロナウイルスへの対応を中心とし、その中でもまちづくりを止めることなく、公約の実現に向けて取り組んでまいりました。令和8年度予算は、2期目最後の予算となります。今任期の公約では、長年の課題となっていた、新図書館の新築工事が順調に進んでおり、令和8年秋頃、供用開始を予定しています。また、その他の公約についても着実に取り組んでおり、ほとんどが達成、もしくは道筋を示せている状態です。狛江市の人口総数は令和12年をピークに減少傾向となり、令和12年から令和27年にかけて約5,000人減少すると推計しています。この減少を緩やかにするため、子育て支援を強化してまいりましたが、安全で安心して暮らせるまちや、いつまでも健康で暮らし続けられるまちであることも重要です。人生100年時代を迎えるにあたり、市民一人ひとりの人生を豊かにし、健康で質の高い生活が長く続けられるまちづくりを継続する必要があります。諸外国の影響による社会情勢の変化や、続いている物価高など、様々な課題に立ち向かわなければならない現代においても、行財政改革を遂行し、市民の皆様とともに人にやさしいまちづくりを進めます。

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