2月22日(木曜日)開催の令和6年狛江市議会第1回定例会において、松原市長は令和6年度における狛江市の市政運営方針について所信を表明しました。
 以下はその全文です。 

 


 令和6年狛江市議会第1回定例会に当たり、令和6年度狛江市一般会計予算案の概要等の説明を中心に、新年度における狛江市の市政運営方針を申し上げます。
 初めに、本年1月1日に発生しました令和6年能登半島地震において、多数の尊い人命が犠牲となっていることに対しまして、深く哀悼の意を表します。また、この一連の地震等で被災された全ての方々に、心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地域の安全の確保と一日も早い復興をお祈りいたします。
 狛江市におきましては、昭和49年に多摩川の堤防が決壊し、住家が流されるという大水害が発生しました。今年は、それから50年の節目の年です。また、令和元年東日本台風災害からも5年の年となり、その間の取組、対応状況を市民の皆様と共有し、震災も含め、関心が高い今だからこそ、改めて、災害対策の重要性を訴えてまいります。
 新年度は、狛江の駅前に新しい価値が生み出されます。現在、小田急狛江マルシェのリニューアル工事と並行して、都内の市区町村では初の「ほこみち」指定を行った駅周辺市道のリニューアル工事も行っています。駅周辺を通行する市民の皆様にはご迷惑をお掛けしておりますが、リニューアル完了後の駅前空間では、憩いと賑わいにあふれる“狛江らしさ”が詰まった風景が日々見られることと思います。併せて、その賑わいの中核を担う法人として昨年10月に立ち上げた「一般社団法人 狛江まちみらいラボ」は、行政とは異なる立ち位置で、地域の方と協働しながら狛江のまちづくりに参画してまいります。

地方財政をめぐる動きと狛江市の令和6年度予算案の概要

 日本の経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあります。30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済の先行きには前向きな動きが見られており、デフレから脱却できる千載一遇のチャンスを迎えています。一方で、賃金上昇は物価上昇に追い付いておらず、個人消費は依然力強さを欠いています。これを放置すれば、再びデフレに戻るリスクがあり、また、潜在成長率が0%台半ばの低い水準で推移しているという課題もあります。このような状況の中、国の予算案は、社会保障費の増大に、長期金利の上昇を反映した国債費などの増がありますが、物価高騰対策などの予備費の減により、12年ぶりに前年度を下回ったものの、過去2番目の規模となりました。企業業績の伸びや物価高などを反映し、国税収入は過去最大となっています。地方財政対策としては、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中、地方公共団体が、住民ニーズに的確に応えつつ、こども・子育て政策の強化など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税及び臨時財政対策債等の一般財源総額について、令和5年度を上回る額が確保されています。さらに財源不足が改善したことで、臨時財政対策債は、制度創設以来、最少額を更新しています。

 狛江市の令和6年度一般会計予算案は、339億2,000万円、前年度比23億円、7.3%の増となり、過去最大の予算規模です。下水道事業会計を除いた特別会計の合計額は176億6,905万4千円であり、一般会計を合わせた総額は、515億8,905万4千円、前年度比20億1,186万4千円、4.1%の増となりました。歳入では、市税全体では減となっていますが、個人市民税において、定額減税が実施されるため、大きく減しており、影響額を除けば、給与所得の増など所得割が堅調で、固定資産税では、土地は評価替えに伴う路線価の上昇による増、家屋は新増築の増などを見込み、定額減税による影響額を除いた市税全体では、過去最大を見込んでいます。
 なお、定額減税による減収分は、地方特例交付金にて、全額、国費により補てんされることとなっています。歳出では、令和5年度から(仮称)子ども条例の制定に向け着手していますが、子育て施策全般の指針となるよう、その理念を市全体で共有する仕組みとして制定します。少子化の状況は著しく、このままでは、もはや歯止めが利かない状況になりかねず、これからの6年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと言われています。狛江市としてできる少子化対策、狛江市だからできる子育て支援の充実を図る予算としています。

令和6年度予算案の主な取組等について

次に、令和6年度予算案の主な取組等について、説明申し上げます。

人権・平和、参加・協働

 初めに「人権・平和、参加・協働」です。人権を尊重しみんなが生きやすい狛江をつくる基本条例を推進するため、人権啓発活動等に対する補助制度を創設するとともに、誰もがともに認め合い、個人として尊重され、自分らしい生き方ができる男女共同参画社会の実現に向けて、社会状況の変化等を捉え、令和7年度からの男女共同参画推進計画を策定します。世界では紛争が続いている地域がある中、あらためて平和について考える機会を創出し、平和の大切さについての意識の醸成を図るため、平和への願いや想いを込めた絵手紙を募集します。市民公益活動事業補助金は、年度当初からの活動を支援できるようにするなど、より効果的に活用できるよう補助スキームを改善します。

防災・防犯

 次に、「防災・防犯」です。今年の9月1日は、多摩川の堤防決壊から50年の節目となります。あの時、何が起こったのか、どんな対応をしたのか、またそれは、現在の災害対策に、どう活かされているのか。過去の災害から学び、未来へつなげるシンポジウムを開催するとともに、関係機関と連携した総合水防訓練を実施し、自助・共助・公助、それぞれの役割の重要性を、改めて、認識していただく機会を創出します。能登半島では、またもや大地震が発生しました。もはや日本列島は、いつどこで大地震が発生してもおかしくないと言われており、首都直下地震の発生に備える必要があります。建物の耐震化は、最も大事な災害対策のひとつです。新たに分譲マンションの耐震補強改修助成金を創設するとともに、木造住宅の耐震診断と耐震改修助成金には、これまでの旧耐震基準に加え、昭和56年から平成12年までに建てられた新耐震基準の住宅も対象に拡充します。消防団は、地域防災力の要です。消防力を強化するため、消防ポンプ車5台を刷新します。
 また、消防団員の安全確保のため、防火衣を更新するとともに、第一分団器具置場を改修します。木造住宅密集地域は、火災による延焼の危険性が高い地域で、市内に多く存在しています。東京都において、調布都市計画道路3・4・2号線(水道道路)の拡幅事業を進めていますが、拡幅事業に併せ、木造住宅密集地域解消のため、用途地域や防火規制の変更等の検討、課題解決に向けた手法の具体化を図ります。令和5年度に作成しました3D都市モデルにて実施した延焼シミュレーションを活用し、建物の延焼の広がり具合を視覚的に分かりやすく表現したものを活用することで、まちづくりにおける災害対策の必要性についても理解促進を図ります。今年は、令和元年東日本台風災害から5年の年でもあります。再度災害防止に向けた中長期的な浸水対策では、いよいよ六郷排水樋管流域において、具体的となる実施設計に着手し、猪方排水樋管流域においては、基本設計に着手します。これらの取組等も勘案し、地域防災計画を修正します。

 昨年、発生した強盗殺人事件を機に創設した住宅等の防犯対策に対する補助制度は、多くの市民の皆様に活用いただいていますので、引き続き、補助制度を継続します。市民の皆様の安心安全に大変寄与いただいている青色防犯パトロールをさらに推進するため、参加いただく方へのインセンティブとなる制度を創設します。また、青色防犯パトロールでは、住宅街を縦横無尽に巡回いただいていることを踏まえ、安心安全パトロール車を、事故軽減機能の付いた小型の軽自動車に更新し、より安全なパトロールで安心を提供できる体制を構築します。

地域振興

 次に、「地域振興」です。こまえ元気わくわく事業では、にぎわいの創出と商店街等の認知度向上のため、商店街等を回遊するピンズラリーを実施します。商店街等の振興、地域経済の活性化を図るため、各商店街等での年末セール、イルミネーション、Instagram構築等に対して補助を行います。市民・事業者の皆様とともに時代に即した商業振興施策の展開を図るため、令和7年度からの次期商業振興プランを策定します。新図書館の建設に伴い、狛江市商工会を小田急線の高架下へ移転していただくための改修工事を実施します。都市農業の担い手や後継者不足を補う多様な担い手の確保・育成のため、農業者との交流やスキルアップ等を行う援農ボランティア育成講座を実施します。自然と触れ合い農業に対する理解を深めるため、新たな市民農園として、(仮称)ひがしのがわ農園を開設します。友好都市交流推進事業では、様々な世代が友好都市に足を運べる機会を創出し、市民間の交流を図るため、夏休み期間の自由研究として、長岡市川口地域の豊かな自然や文化を体験できるふるさと親子体験宿泊事業を新たに実施します。老朽化に伴う谷戸橋地区センターの改修工事は、市民センターの大規模改修に伴う閉館に間に合うよう工事を完了させます。

子育て、学校教育

 次に、「子育て、学校教育」です。狛江の子どもたちの権利の保障や心も体も健やかに育つ環境整備のために、その理念を市全体で共有する仕組みとして(仮称)子ども条例を制定します。国のこども大綱や(仮称)子ども条例を踏まえ、子ども・若者に関するマスタープランとして第3期こまえ子ども・若者応援プランを策定します。母子保健事業と要保護児童対策事業の一体的な実施を見据え、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの一体的な相談支援を行うこども家庭センタ-を、あいとぴあセンター内に開設します。結婚・妊娠・出産・子育ての各ステージにおいて、切れ目ない支援を継続しますが、新たにプレコンセプションケア事業として、将来の妊娠を考えながらライフステージに応じた自分たちの生活や健康に向き合うセミナーや、妊娠を望む女性やカップルに対して妊活オンライン相談を実施します。
 経済的支援としては、市独自の出産祝金制度を継続するとともに、ファーストバースデーサポート育児パッケージを1万円から6万円に拡充します。幼稚園への入園準備にかかる保護者の負担を軽減するため、市独自の新入園支度金は、2万円から3万円に拡充します。幼児などへの感染が多く、難聴などの合併症を予防する効果があるおたふくかぜワクチンの接種費の助成制度を、新たに創設します。児童手当は、所得制限を撤廃し、高校生年代まで延長するとともに、第3子以降は、月額3万円に拡充します。義務教育就学児医療費助成では、市独自に、全ての所得制限を撤廃し、子どもの健康増進と子育て世帯の負担軽減を図ります。本来、学校給食費の無償化は、国において等しく行われるべきものではありますが、市として、子育て世帯の負担をより効果的に軽減できる、子育て支援の充実を図る施策のひとつと考え、令和6年度の市立小中学校児童・生徒の給食費を無償とします。子ども家庭支援センターでは、一時保育へのニーズに対応するため、新たに一時保育を実施します。発達等に課題を抱えた子どもを支援するため、発達サポーター育成講座の修了者を市内施設等に派遣します。学童クラブの待機児対策としては、令和7年4月の新規開設・定員拡大に向け、(仮称)和泉小学校学童クラブ新築工事や猪方学童保育所増築工事を行います。また、令和7年度中の開設に向け、(仮称)緑野小学校放課後子ども教室の新築工事設計に着手します。

 学校教育では、市の教育分野における総合的な施策大綱として位置付けている教育振興基本計画を、令和7年度からの第4期計画として策定します。近年、夏の水泳指導が、地球沸騰化の影響による健康リスクとなっており、対策が喫近の課題です。水泳指導の安全な実施と専門家の指導を受けられること、さらに、プールの水道代や修繕費用などの維持管理経費の低減の効果等を検証するため、狛江第一小学校の5・6年生、和泉小学校の全児童を対象として、民間屋内プール施設を活用した水泳指導の試行事業を実施します。小学校高学年における専門性の高い教科指導等を実現するため、小学校教科担任制等推進校に緑野小学校を指定し、5・6年生の理科の授業を対象に実施します。部活動の地域連携・地域移行に向けて、2つの運動部活動に加えて、新たに1つの文化部活動において、スポーツ庁・文化庁による実証事業制度にエントリーします。
 ひだまりセンターでは、多様化・複雑化した課題を抱える子どもの育ちを支援するため、子育て、福祉、教育部局が連携し、切れ目ない支援を実施します。計画的に実施している小中学校の大規模改修は、小学校では、狛江第六小学校と和泉小学校の受変電設備の改修工事、狛江第五小学校改修工事に向けた設計、緑野小学校空調設備整備工事に向けた設計を行います。中学校では、令和5年度からの繰越事業で、狛江第一中学校改修二期工事と狛江第四中学校技術棟空調設備整備工事を行うとともに、狛江第一中学校と狛江第四中学校の受変電設備の改修工事、狛江第三中学校大規模改修工事に向けた基本設計を行います。

保健・福祉

 次に、「保健・福祉」です。障がい者等の重度化・高齢化や「親亡き後」に備えるとともに、地域移行を進めるため、整備を支援してきました地域生活支援拠点は、いよいよ、今年の秋に開設します。開設に併せ、障がい者の権利を守り、地域で安心して暮らし続けられるよう、総合的で切れ目のない生活支援システムを、さらに充実させるため、相談支援事業の中核的な役割を担う機関として、基幹相談支援センターを地域生活支援拠点に併設します。講演会などで福祉団体や障がい者団体等が利用しているあいとぴあセンター講座室の音響機器を更新し、聴覚障がい者の利便性の向上を図ります。これまで、支援の対象となっていなかった18歳以上で、聴力が低下し、日常生活に不便を感じている難聴者を対象とした難聴者補聴器購入費助成制度を創設します。多世代・多機能型交流拠点ふらっとなんぶの世代間交流や地域づくりに向けた事業を充実させるため、担当職員を増員するとともに、こまえ苑エリアの高齢者の見守りを強化するため、シルバー交番機能を担う職員を増員します。生活保護では、健康管理支援員による個別支援等、生活保護受給者の健康管理のサポートを充実させ、医療扶助の削減に努めます。健康こまえ21、食育推進計画、いのち支える狛江市自殺対策計画を統合し、令和7年度からの計画として一体的に改定します。がん検診は、バス検診日程を増やすとともに、がん検診未受診者・予約後キャンセル者への個別再勧奨を実施し、受診率の向上に努めます。新型コロナワクチンは、新年度から定期接種化されますが、引き続き、丁寧に対応していきます。

 国民健康保険特別会計では、国保財政の健全化のため国民健康保険税率を改定します。また、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業に連動した国保加入者向けに保健事業の強化を図ります。後期高齢者医療特別会計では、2年に一度の保険料率の改定を実施します。高齢者の心身の多様な課題に対応し、きめ細かな支援を実施するため、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業を開始します。介護保険特別会計では、第9期介護保険事業計画を開始し、介護保険料を改定します。聴覚機能の衰えの早期発見・予防を図るため、ヒアリングフレイル予防事業として、講演会に加え、聞こえのチェックなどを実施します。

社会教育、芸術文化、歴史

 次に、「社会教育、芸術文化、歴史」です。「絵手紙発祥の地-狛江」事業では、名誉市民である小池邦夫先生の功績をたたえ、(仮称)「小池邦夫 没後展」を開催します。また、その半生をまとめた、広報こまえ連載記事「小池邦夫のうちあけ話」の小冊子を作成します。先ほど述べました平和に関する絵手紙事業やアドプトありがとう絵手紙、小中学生の絵手紙作品の市役所での展示など、市の文化資源である絵手紙の魅力を他事業と連携し、市内外に発信します。「音楽の街-狛江」事業では、誰でも気軽に音楽に触れられる機会を提供するため、シンボルコンサートを市民まつりと一体的に実施します。市民の皆様からご寄贈いただきました文化財や発掘された歴史資料等の保管・活用が課題となっています。文化財及び歴史資料等の保管・活用施設に関する庁内検討委員会の中間報告書に基づき、文化財等保管施設の新築工事に向けた設計に着手します。
 また、多くの人に愛される市民センターを目指して、狛江市民センター改修基本構想に基づき、いよいよ、市民センターの大規模改修工事に着手します。市民の皆様の学びや暮らしを彩り、狛江の実りを未来につなぐ図書館を目指して、狛江市新図書館整備基本構想に基づく、新図書館整備実施設計は、令和5年度から引き続き実施します。市民センターの大規模改修に伴う中央図書館の休館期間中も、図書サービス提供のため、臨時窓口を開設します。新図書館では、ICタグを活用したスムーズな図書の貸し借りを行うため、図書資料へのICタグ貼付など、円滑な移行に向けた準備に着手します。市民総合体育館は、令和7・8年度の大規模改修工事に向けた実施設計に着手します。また、地域のスポーツを支える新たな拠点の検討を始めます。

自然環境、都市基盤

 次に、「自然環境、都市基盤」です。2050年までに、二酸化炭素排出実質ゼロに向けて取り組む、ゼロカーボンシティ宣言を踏まえ、長野県茅野市に続き、新たに小諸市と、脱炭素社会の実現に関する連携協定を締結しました。新年度から創設される国税の森林環境税を財源とする森林環境譲与税を活用し、両市とはカーボンオフセットの取組等を推進します。さらに、茅野市とは、さらなる木材利用と脱炭素を促進するため、間伐材を活用した「婚姻・出産お祝い品贈呈事業」を開始します。また、市はもちろんのこと、市民や事業者の皆様の再生可能エネルギー導入拡充に向けたデータ基盤を整備するため、3D都市モデルを活用し、太陽光発電設備の設置ポテンシャル分析を実施します。

 狛江駅北口周辺エリアでは、「狛江まちみらいラボ」と地域の空間活用のプレイヤーの皆様で構成するエリアプラットフォーム「狛江えきまち会議」において、引き続き、狛江駅周辺のまちづくりの関係者で共有する「未来ビジョン」の検討を進めます。また、小田急狛江マルシェのリニューアルオープンと併せて実施する予定の「ほこみちオープニングイベント」では、ほこみちを通じて変わっていく駅前の日常が表現できるような、狛江らしさがあふれるイベントにしてまいります。小田急狛江マルシェの改修工事と一体的に実施している狛江駅周辺の快適な空間づくり事業は、狛江駅北口噴水前や泉の森会館付近での第2期工事を実施します。狛江駅南口周辺地区市街地総合再生基本計画については、アンケート調査やワークショップ等を行い、基本計画の素案を作成します。狛江団地周辺地区では、建替え計画について東京都と調整を継続し、地区計画等の都市計画や創出用地の活用について検討を進めます。

 令和5年度に策定しました、かわまちづくり計画に基づき、多摩川の市場性や利用ニーズ等を検証する社会実験を実施します。公園施設長寿命化計画に基づき、都市公園遊具の更新を計画的に実施します。調布都市計画道路3・4・16号線(電中研前、岩戸北区間)は、無電柱化や用地取得等を進めます。(仮称)駒井公園整備事業については、用地取得を進めるとともに、第1期工事のための実施設計に着手します。生活幹線道路や橋りょうは、安全かつ円滑な交通環境を確保するため、修繕計画に基づき、計画的に改修を進めています。

行財政運営

 次に、「行財政運営」です。令和5年度末の基金残高見込みは、約77億2,000万円です。前年度比で、約10億3,800万円、15.5%の増となります。令和5年度末の市債残高見込みは、約172億6,800万円です。前年度比で、約5億3,800万円、3.0%の減となります。引き続き規律ある財政運営に努めてまいります。

 令和5年度から策定に着手している後期基本計画は、第4次基本構想10年間の後半となる令和7年度から11年度までの市の施策の方向性を示す最上位計画です。少子高齢化の進展及び人口減少を見据え、狛江の資源を活かすとともに、デジタルの活用など時代の変化に対応した、持続可能な行政運営を行える長期的な視点で、審議会及び分科会等を通じ検討・策定します。多摩川住宅地区地区計画において、公共公益地区として位置付けられている旧狛江第四小学校跡地の利活用のため、施設整備等に向けた基本計画を策定します。自治体情報システムの標準化では、基幹20業務についてガバメントクラウドへの円滑な移行のため、基盤となる環境を構築・整備するとともに、令和6年度に先行して実施するシステムの標準化対応及びガバメントクラウドへのリフトを推進します。DXの推進によるサービス向上を実感できるよう複数の窓口における手続きが必要な場合においても、待ち時間を軽減する「待たない窓口」を導入します。令和5年度に導入しました公開型GISを活用した地図情報サービスでは、新たに道路台帳平面図をインターネット上で閲覧できるようにし、「行かない窓口」を推進します。働き方改革推進プランに基づく取組の効果的な推進のため、人財育成委員会での検討を踏まえ、メンタルヘルス、障がい者理解、職場活性化、DX、デザイン等、時宜にかなったテーマの研修を実施します。

今後に向けて

 新年度は、前期基本計画の最終年度となります。総仕上げの年であるとともに、後期基本計画につながる年でもあります。第4次基本構想・前期基本計画を策定した平成31年度は、人口が大きく伸び続け、新型コロナウイルス感染症は蔓延していなく、物価の高騰もありませんでした。それから4年が経過しようとしており、コロナ禍を経て、DXの進展と浸透など、世の中は大きく変わりました。それは、狛江市においても同様であり、そして、残念ながら人口は減少し始めています。しかし、日本の総人口が減る中で、この減少を緩やかにすべく、狛江市の価値に注目しています。
 いよいよ、狛江の玄関口である狛江駅の商業施設とともに、駅周辺がリニューアルします。「狛江まちみらいラボ」と地域を支える様々な主体の連携により、ほこみち制度を最大限活用し、憩いと賑わいの歩行空間での新たな価値の創出が始まります。その価値は、新たな交流、新たな視点、新たな活用につながり、多摩川や野川、絵手紙や音楽、そして、地域を支える様々な主体が、市全体の今ある価値に、新しい交流を、新たな価値に気付きを与え、磨き、また生み出されると考えています。引き続き、市民の皆様とともに人にやさしいまちづくりを進めてまいります。