2月21日(火曜日)開催の令和5年狛江市議会第1回定例会において、松原市長は令和5年度における狛江市の市政運営方針について所信を表明しました。
 以下はその全文です。 

 

 令和5年狛江市議会第1回定例会に当たり、令和5年度狛江市一般会計予算案の概要等の説明を中心に、新年度における狛江市の市政運営方針を申し上げます。

 今年は、コロナ禍からの社会の正常化に向けた大きな節目の年となります。国は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類について、重症化リスクや感染力を踏まえ、特段の事情が生じない限り、5月8日に、現在の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に移行するとしました。ウィズコロナの取組を更に進め、家庭、学校、職場、地域のあらゆる場面で、ポストコロナの新しい日常へ着実に歩みを進めるとしています。市では、新型コロナウイルス感染症の発生以来、新型コロナウイルス感染症対策本部及び、新型コロナ予防接種室を設け、コロナ対策全般にわたる基本的対処方法の決定や創意工夫によるワクチン接種を推進してきました。5類への移行は、3年続いたコロナ対応の大転換と言えます。しかしながら、新型コロナウイルスは、季節性でもなく、変異を繰り返し、経口治療薬の開発・普及は途上にあります。市としては、国から示される予定の具体的な方針に基づき、柔軟に対応してまいります。

地方財政をめぐる動きと狛江市の令和5年度予算案の概要

 日本の経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いているものの、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー・食料価格の高騰、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退が懸念されるなど、日本経済を取り巻く環境は厳しさが増しています。このような状況の中、国の予算案は、社会保障費の増大に、防衛費の大幅増も加わり、過去最大を更新しました。企業業績の伸びなどを背景に、国税収入も過去最大となっています。地方財政対策としては、社会保障費の増加が見込まれる中、地方公共団体が、住民ニーズに的確に応えつつ、地域のデジタル化や脱炭素化の推進など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税及び臨時財政対策債等の一般財源総額について、令和4年度とほぼ同額が確保されました。

 狛江市の令和5年度一般会計予算案は、316億2,000万円、前年度比3億円、1.0%の増となり、過去2番目の規模となりました。下水道事業会計を除いた特別会計の合計額は179億5,719万円であり、一般会計を合わせた総額は、495億7,719万円、前年度比6億3,489万1千円、1.3%の増となりました。歳入では、個人市民税が、給与所得の増などを見込み、所得割が堅調なこと、固定資産税では、家屋で新増築の増などを見込み、市税全体で、コロナ禍前を上回る水準を見込んでいます。普通交付税は、国税収入が過去最大を更新していることなどにより増額しており、財源不足が改善したことで、臨時財政対策債は、制度創設以来、最少額となっています。歳出では、新型コロナウイルス感染症は、5類に移行されますが、引き続き、一人ひとりに寄り添った接種体制を継続してまいります。国の令和4年の出生数は、人口動態統計の開始以来、初めて80万人を割り込み、77万人程度まで減少することが見込まれています。狛江市においても同様に、出生数は減少しており、従来の少子化傾向に加え、コロナ禍の影響が長引く中、経済状況の懸念などから、結婚や妊娠を控えるケースが影響しているものと見られます。国は、令和5年4月に、こども家庭庁を創設します。東京都は、令和4年4月に子供政策連携室を設置し、先月、こども未来アクションを策定するなど、国・都ともに、子ども政策に重点的に取り組むとしています。狛江市としても、国や都と連携しつつ、(仮称)子ども条例制定に向けた検討を開始するとともに、結婚・妊娠・出産・子育ての各ステージを切れ目なく、独自の支援も織り交ぜながら、子育てしやすいまちづくりに資する子育て支援の充実を図る予算としています。

令和5年度予算案の主な取組等について

 次に、令和5年度予算案の主な取組等について、説明申し上げます。

人権・平和、参加・協働

 初めに「人権・平和、参加・協働」です。本定例会で「狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例」の改正案を提案していますが、まちづくりの主体である市民を始め、地域を支える様々な主体がお互いに連携・協働し、支え合うことで、市民参加と市民協働によるまちづくりをより一層進めてまいります。人権を尊重しみんなが生きやすい狛江をつくる基本条例に掲げる、市民一人ひとりが個人として大切にされ、誰もがより生きやすい、安心して暮らせる平和なまち、互いに支えあい助けあう、やさしいまちをみんなでつくっていくため、東京都パートナーシップ宣誓制度に、市の制度を適用させる関係条例の改正案も提案しています。
 また、市内在住の外国人が安心して地域の一員として暮らせるよう日本語の支援を必要とする児童や生徒、保護者等を対象に生活言語習得の支援を市民協働事業として実施し、多文化共生を推進します。ロシアによるウクライナ侵略から1年が経とうとしています。新年度も平和に関する絵画コンテストを実施し、平和都市宣言の推進に取り組みます。

防災・防犯

 次に、「防災・防犯」です。
 先月、安心で安全なまちを揺るがす強盗殺人事件が市内で発生しました。お亡くなりになりました方のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
 事件発生後、市では、全庁を挙げて防犯パトロールの強化に努めています。新年度では、市独自の対策として、新たに住宅等の防犯カメラや人感センサーライト、窓ガラスへの防犯フィルムなどを設置する防犯対策にかかる補助制度を創設するとともに、町会・自治会、商店街等が設置する防犯カメラへの補助件数の増、電気代や共架料に対する補助に加え、新たに保守点検や修繕費に対する補助を創設します。市においては、市内要所に、防犯カメラを設置し、調布警察署と連携した防犯キャンペーンの実施など、市全域での防犯対策の強化に取り組みます。

 今年の9月1日は、関東大震災から100年の節目の年でもあることから、安心安全通信の特集号を発行します。昨年、東京都は、新たな被害想定を公表しましたが、狛江市内は、木造密集地域が多く、火災による延焼の危険性が高いとされています。木造密集地域解消のため、調布都市計画道路3・4・2号線(水道道路)周辺まちづくり方針等検討業務では、用途地域の変更等、課題解決手法の具体化を図ります。3D都市モデルを導入し、木造密集地域等での火災延焼シミュレーションを行い、大規模延焼等にいたる経過の立体的な見える化を図り、市民の皆様と共有し、災害対策を市民参加・市民協働で、より具体的な検討につなげます。
 また、まちづくり条例指導基準により、各住戸等に消火器や感震ブレーカーの設置を求め、事業者と連携して、災害に強いまちづくりを推進します。震災時には、戸建てやマンション等の倒壊が無ければ、多くの命が救われるとともに、その後の避難生活や復興への道のりが短縮されます。大規模マンション耐震改修設計補助を創設するとともに、特定緊急輸送道路の沿道建築物撤去費の助成、下水道管渠の耐震化を進めます。避難所となる小中学校の体育館には、避難者用のwi-fi環境を整備するとともに、児童・生徒用に給食用非常食(救給カレー)を備蓄します。日常と非日常の境を無くす、フェーズフリーの考え方のもと、災害時に備えるとともに、今後の毎年の買い替えに併せて、学校給食として提供することで、防災について考える機会とし、食育の推進も図ります。令和元年東日本台風では、448世帯が浸水するなど大きな被害がありました。再度災害防止に向けた中長期的な浸水対策として、六郷排水樋管流域では基本設計を、猪方排水樋管流域では予備設計を実施します。

地域振興

 次に、「地域振興」です。
 狛江市観光協会では、市民の連携と心のふれあいを図るとともに、広く市民に憩いの場を提供し、新型コロナウイルス感染症の影響により、市民の落ち込んだ気持ちを何とか盛り上げたいという思いから、4年振りに、(仮称)狛江・多摩川花火大会を開催します。開催にあたり、市では助成金を交付し、狛江の景勝地である多摩川を活用した事業を通じて、ポストコロナの新しい日常へ着実に歩みを進めます。こまえ桜まつりでは、市内店舗等への回遊を目的としたデジタルスタンプラリーを実施し、会場以外でも商業の活性化を図ります。
 更なる市内での創業を後押しするため、創業支援家賃・改修費補助金において、家賃や改修費の助成単価を増額し、市内での起業を応援します。狛江駅周辺などのエリアマネジメントの推進を図るため、地域住民や関係事業者を構成員とする協議組織「エリアプラットフォーム」を立ち上げます。狛江ブランド農産物の直売を実施し、周知拡大及び購入機会の創出に取り組みます。新潟県長岡市川口地域との交流では、ふるさと交流キャンプの実施を見直し、新たに木沢焼陶芸体験とお茶会、田植えや稲刈りなどが体験できる棚田オーナー制度への助成を行い、新たな交流・体験の機会を創出します。

子育て、学校教育

 次に、「子育て、学校教育」です。
 子育て支援は喫緊の課題です。(仮称)子ども条例の制定に向け検討を開始し、子育て施策全般の指針となるよう取り組んでまいります。
 子育て支援では、結婚・妊娠・出産・子育ての各ステージを切れ目なく支援することが必要です。令和4年度から開始しました多摩マッチングプロジェクトでは、多くの方が参加され、出会いの場を提供しました。新年度は多様性も踏まえた新たな出会いの場を創出します。妊娠届出時から全ての妊婦・子育て家庭に寄り添い、保健師との面談等を通じ、その後の必要な支援等につなぐ伴走型相談支援を実施しますが、市では、東京都と連携し、行政と子育て世帯とが関わることが少なくなる1歳又は2歳を迎える子育て世帯にアンケート面談を行い、より切れ目のない支援につなげます。経済的支援では、妊娠届出時に6万円相当、出生届出時に、子ども一人あたり、12万円相当、1歳時に6万円相当、1歳までで合計24万円相当の子育て支援クーポン等を給付します。出生時の12万円相当のうち、2万円は、出産祝金として、現金にて給付を行う、市の独自支援です。物価の高騰により小中学校給食の食材料費も値上がりしています。市では、従前から、ひと月あたり400円の独自補助を行っていますが、栄養価はもとより、給食の質を維持するため、食材料費の高騰分を引き続き支援します。更に、多子世帯の負担を軽減するため、市立小中学校在籍の第3子目以降の小中学校給食費を無償化します。
 市独自で実施している非課税世帯を対象としてきた高校生等医療費助成制度は、4月から東京都制度に移行し拡充します。共働き世帯が増えていますが、子育てには、親の手があると助かります。市内に親世帯がいる子育て世帯が、市外から市内に転居する際にかかる費用の一部を助成する子育て世帯に対する親世帯近居等促進助成金を創設します。保育園での虐待が社会問題となっていますが、虐待の未然防止のため、私立保育園等の巡回視察を実施します。私立の幼稚園教職員の市内定住を促進するため、新たに幼稚園教職員市内居住推進事業補助金を創設します。道路交通法の一部改正により、4月から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されることを踏まえ、13歳未満の乳幼児・児童の保護者に対し、ヘルメット購入費の助成を行います。学童クラブの待機児解消へ向けた取組も強化します。4月には、狛江第二中学校内に臨時の猪方こどもクラブを開設するとともに、和泉小学校放課後クラブの定員を拡大します。令和7年4月の定員拡大に向け、2施設で設計に着手します。子どもの居場所についても新たに北部と南部に開設します。ひとり親家庭等学習支援については、対象を高校生まで拡げ、定員を拡充します。

 学校教育では、中学生で実施している体験型英語学習施設TOKYO GLOBAL GATEWAYでの体験を小学6年生でも実施し、日常から離れ、海外をイメージして作られた街並みでいつもと違う環境の中、グローバルな世界を存分に体験してもらいます。また、オンラインスピーキングは、事業者との協働により実施回数を拡充します。オリンピック・パラリンピックのレガシーとして実施しているアスリートによる豊かなスポーツライフ充実事業を、引き続き実施します。エコルマホールの改修や感染症対策により中止となっていたアウトリーチ活動に参加した音楽家による集大成となるガラコンサートをエコルマホールで再開し、子ども達に音楽・芸術の素晴らしさを体験してもらいます。学校の働き方改革も踏まえ、課題となっている部活動の地域連携については、部活動地域移行検討委員会において、地域団体や民間事業者などの担い手の検討を含めて議論を深めてまいります。順次実施しています小中学校の大規模改修は、令和4年度からの繰越事業ではありますが、狛江第三小学校と狛江第二中学校では3か年工事の最終年度となり、新たに狛江第一中学校の改修工事を開始します。

保健・福祉

 次に、「保健・福祉」です。
 新型コロナウイルス感染症が、5月8日から5類に移行されることを踏まえ、市としては、国から示される具体的な方針に基づき、正常化へ向け円滑な移行ができるよう、関係機関と連携し、取り組んでまいります。それまで、ワクチン接種については、引き続き、一人ひとりに寄り添った接種体制を継続します。第5次地域福祉計画等の策定に着手していますが、計画策定の中で生活困窮者への支援、障がい者支援、高齢者等への支援を推進するとともに、つなぐシート等を活用することで、複雑化、複合化した課題を抱える地域住民の支援ニーズに対応することにより、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制を整備してまいります。
 駒井町に整備を進めている多世代・多機能型交流拠点(ふらっとなんぶ)は、子どもから高齢者まで地域住民がいつでも気軽に集い、ゆるやかに関わり合うことのできる居場所として、来月20日に開設します。障がいのある方の高齢化や親亡き後を見据えた、重度障がい者にも対応した居住支援機能を持つ地域生活支援拠点は、令和6年度の完成に向け、関係機関等との調整を進めています。この拠点では、相談や緊急時の受入れ、また体験の機会といった機能を確保するため、施設建設費補助を創設します。障がい者週間では、ユニバーサルマナー研修や障がいの体験会等を実施します。保育園や小学校、学童クラブにて、医療的ケア児の受入れを開始します。生活困窮者への支援として、弁護士等による相談体制を構築し、生活再建や経済的自立に向けた支援に取り組みます。
 また、子どもの学習・生活支援や就労準備、家計改善に向けた複合的な支援を拡充します。高齢者支援では、就労や社会参加に対して意欲のある高齢者に対して、能力に応じた就労先を見付けることで生涯現役をサポートするマッチング講演会を開催します。社会や地域のデジタル化の進展により、スマートフォンは、高齢者にも身近になっている一方で、難しさを感じる高齢者も多くいます。スマホ講座も兼ねた高齢者等生きがいポイントの使用方法のプロモーションや講習会、また公民館事業によるスマホ講座などを実施し、より多くの高齢者にデジタル化の恩恵を身近に感じてもらえるように努めます。元気高齢者でい続けるには、予防の取組が大切です。東京慈恵会医科大学附属第三病院の慈恵健康推進センターと協働し、介護予防・フレイル予防、健康推進に関する啓発を推進します。介護分野では社会資源把握支援システムを導入し、介護事業所及び利用者の情報収集等の負担軽減を図ります。
 中和泉で整備を進めている認知症高齢者グループホームには、整備費補助を実施します。子宮頸がんの定期予防接種では、新たに9価ワクチンを対象とします。帯状疱疹は、50歳以上になると発症率が急増し、80歳までには、3人に1人が発症すると言われています。様々な合併症や持続的な痛みが生じることもあり、発症予防、重症化予防のため、帯状疱疹ワクチンの接種費用の助成制度を創設します。

社会教育、芸術文化、歴史

 次に、「社会教育、芸術文化、歴史」です。
 「絵手紙発祥の地-狛江」事業では、名誉市民の小池邦夫先生の出身地である愛媛県松山市の市民の皆様と狛江の市民の皆様とで絵手紙を通じた交流が始まりました。狛江から送った絵手紙に対して、松山から返信の絵手紙が届いています。送っていただいた作品は、来月24日にエコルマホールで開催予定の小池先生の講演会や市役所ロビーにて展示を予定しています。新年度は、学校の絵手紙クラブへの支援のほか、初任者教員対象の絵手紙教室へ、より多くの教員が参加できるようにするとともに、幅広い年齢層の方々へ絵手紙に親しみを持ってもらうため、絵手紙ひろばの土日開催を拡大します。「音楽の街-狛江」事業では、シンボルとなるコンサートの文化フェスティバルを市民まつりと一体的に実施し、市民の皆様が音楽を聴く楽しみだけではなく、演奏する楽しみも持てる機会を拡充します。
 また、エリアコンサートについては、ニーズが高い、子育てエリアコンサートの回数を拡充します。古民家園では、地域の方々を中心としたイベント型の事業を実施します。狛江の近隣に住まわれている著名な文化人による文化講演会の開催を支援し、貴重な機会を提供します。西河原公民館の多目的ホールでは、一般財団法人地域創造と連携し、アーティストによる演劇の手法を使ったワークショップを開催し、ホールの企画・制作能力の向上と創造性豊かな地域づくりを進めるリージョナルシアター事業を実施します。多くの人に愛される市民センターを目指して、狛江市民センター改修基本構想に基づき、市民センターの実施設計を進めます。市民の皆様の学びや暮らしを彩り、狛江の実りを未来につなぐ図書館を目指して、狛江市新図書館整備基本構想に基づき、新図書館整備基本設計及び実施設計を進めます。

自然環境、都市基盤

 次に、「自然環境、都市基盤」です。令和32(2050)年までに、二酸化炭素排出実質ゼロに向けて取り組む、ゼロカーボンシティ宣言を踏まえ、令和4年9月にゼロカーボンシティシナリオを策定しました。脱炭素社会の実現に向けて、先ずは市の率先行動として、公共施設から排出される温室効果ガスの削減となる100%再生可能エネルギー電気を、令和3年度は本庁舎及び防災センターに、令和4年度は全小中学校に導入しました。そして新年度は、指定管理や特殊電力を利用している施設を除く、ほぼ全ての公共施設に導入します。ガソリン庁用車は計画的に電気自動車へ移行しています。二酸化炭素の排出抑制と交通の利便性向上、まちづくりや観光における小型モビリティの可能性を検証するため、グリーンスローモビリティの実証運行を行います。
 また、4月からプラスチック類ごみをリサイクルするため分別収集を開始します。新たに住宅用の高断熱窓の設置やリース等による太陽光発電設備等の導入を補助の対象に追加します。更に、事業者を対象とした再エネ設備導入費助成制度を創設します。基金の確実かつ効率的な運用を図る中で、東京都が発行する東京グリーンボンドを購入し、資産運用においても環境に配慮した取組を進めます。そして、脱炭素に向けた取組として、新たに長野県茅野市との連携協定を、先週、締結しました。森林環境譲与税を活用し、茅野市内で取り組む森林整備によって得られる二酸化炭素吸収量を、狛江市の二酸化炭素排出量と相殺するカーボン・オフセットにも取り組んでまいります。また、まちづくり条例指導基準により、開発等事業に脱炭素への貢献を求め、事業者とも連携し取組を推進します。

 花とみどりの即売会が秋の開催で、100回目を迎えることから記念事業を行います。昨年10月の東京都知事との意見交換会の際に、私から要望しました生産緑地を活用した公園整備に関する都の助成制度の継続と拡充の実施が予定されていることから、(仮称)駒井公園の整備では、この制度を活用し、今後の用地取得を計画的に進めるとともに、ワークショップや市民アンケートを実施し、基本計画を作成します。策定を進めている、かわまちづくり計画では、狛江市と民間事業者、そして地元住民の方々と河川管理者といった多様な主体との連携のもと、「河川空間」と「まち空間」が融合した良好な水辺空間の形成を目指し、計画の完成に向け取り組みます。

 市民の皆様によるまちづくりを推進するため、地区まちづくり協議会運営支援助成金を創設します。狛江駅周辺を快適な空間とするため、歩行者利便増進道路制度(ほこみち)の導入に向けて、1期目工事に着手します。調布都市計画道路3・4・16号線(電中研前、岩戸北区間)は、電線共同溝の整備や用地取得を進めます。調布都市計画道路3・4・2号線(水道道路)周辺まちづくり方針等検討業務では、懇談会の実施やまちづくり方針等の作成に取り組みます。
 狛江団地周辺まちづくりに関する検討業務では、地区計画原案及び用途地域等変更原案の作成に取り組みます。狛江駅南口周辺地区市街地総合再生基本計画の作成に向けて、土地利用方針やゾーニングの検討、現状の課題の抽出、再開発の可能性と今後の取組の方向性などの整理を進めます。八幡通りは、整備基本計画に基づき、対策箇所の改良工事等を実施し、交通環境の改善を図ります。生活幹線道路は、安全かつ円滑な交通環境を確保するため、計画的に改修を進めていますが、新年度は、更に路面下空洞調査も実施します。

行財政運営

 次に、「行財政運営」です。令和4年度末の基金残高見込みは、約66億8,200万円です。前年度比で、約11億2,900万円、20.3%の増となります。令和4年度末の市債残高見込みは、約179億2,600万円です。前年度比で、約5億円、2.7%の減となります。引き続き規律ある財政運営に努めてまいります。

 現在の前期基本計画は、令和6年度までの計画となっています。その後のまちづくりの指針となる後期基本計画の策定に向けて、市民意識調査や無作為抽出による市民ワークショップ等を開催し、広く意見を求めながら策定を進めます。旧狛江第四小学校跡地については、令和4年9月にまとめた利活用に関する基本的な考え方を基に検討を進めます。DXの推進では、他の分野で、既に説明しましたもの以外に、公開型・統合型GIS(地理情報システム)を導入します。各部署が扱っている都市計画図などの地理情報を一元化し、ホームページで公開することで、事業者や市民の皆様の利便性の向上を図ります。
 また、本庁舎2階などへ公開用システムを設置することでワンストップ化も推進します。起案文書の電子決裁の運用を始めるとともに、書庫に保管している多量な文書を効率的に管理できるよう、保存文書の電子化を進めます。現在、活用している電子申請ツールに、審査機能を追加することで、ツール上での相互のやり取りを可能とし、市民サービスの向上を図ります。狛江駅周辺のおしチャリや納税催告の封筒などに、人の行動変容を促す手法であるナッジを活用していますが、その取組も推進するため、新たに、町会・自治会の加入促進や自転車放置防止などにおいても、活用の検討を進めます。

今後に向けて

 令和5年度予算は、2回目の市長選挙後、初めての予算となります。戦略的なまちづくりは継続しますが、新しいことにすぐ飛び付くということではなく、今、既にあることを更に見つめていきます。価値を見付ける。価値に気付く、そして価値を磨く、また価値を生み出すことによって、全てを新しいものにしなくて済みます。狛江駅前再開発から約30年が経過し、また新たな価値を生み出すため、新年度では、ほこみちの指定を目指します。指定の暁には、新たな交流、新たな視点、新たな活用が始まります。狛江駅に限らず、多摩川や野川、また、絵手紙や音楽、そして、地域を支える様々な主体の連携など、今ある価値に、新しい交流が、新たな価値に気付きを与え、磨き、また生み出されることを期待します。

 新型コロナウイルス感染症の発生から3年超が経過し、5月8日には、ポストコロナの新しい日常へ動き出します。既にあることを見つめていき、見付け、気付き、磨き、価値を生み出していきたいと考えています。引き続き、市民の皆様とともに人にやさしいまちづくりを進めてまいります。