令和5年度決算の概要

 令和5年度の特徴として、歳入については、市税がこれまで過去最大だった前年度を超え、過去最大を更新した他、普通交付税や各種交付金も伸びたため、経常一般財源としても過去最大となりました。
 歳出については、物価高騰に伴う市民生活支援として、住民税非課税世帯向け、子育て世帯向けなどの給付金や事業者向けの支援金など、各種支援を実施した他、新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置に関連した低所得者の子育て世帯への給付を実施しました。また、小・中学校給食の食材料費高騰分への支援に加え、市立小・中学校の3学期分の給食費を無償化しました。学童クラブの待機児対策では、猪方こどもクラブの新規開設や和泉小学校放課後クラブの定員を拡大しています。先に発生した、安心で安全なまちを揺るがす強盗殺人事件に対しては、新たな補助制度を創設し、防犯対策の強化を図りました。ゼロカーボンシティの推進として、プラスチック類ごみをリサイクルするための分別収集を令和5年4月から開始し、DXの推進では、公開型・統合型GIS(地理情報システム)を導入し、各部署が扱っている都市計画図などの地理情報を一元化し、ホームページで公開することで、事業者や市民の皆さんの利便性の向上を図りました。まちのにぎわいの創出としては、狛江駅周辺を快適な空間とするため、「ほこみち」を導入し、地域まちづくり法人となる「一般社団法人狛江まちみらいラボ」を設立しました。
 令和5年度はコロナ禍からの社会正常化に向けた大きな節目の年となりましたが、物価高騰対策、子育て支援の充実、脱炭素やDXの推進、まちのにぎわいの創出を図ることができました。
財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、経常経費充当一般財源(歳出、分子)、経常一般財源(歳入、分母)ともに増となり、歳出の増分が大きかったため悪化しましたが、市債残高を減らし、基金残高を増やすことで、将来負担の抑制に努めることができました。
 今後も、学童クラブ等の待機児対策等に取り組むとともに、高齢化などによる社会保障費の増加、公共施設の更新、維持管理費、先行きに不透明感のある物価高騰対策に加え、地震や台風等突発的な財政需要等にも対応していくため、規律を持った財政運営に努めていく必要があります。
 詳細は「財政のあらまし(令和5年度決算)」をご覧ください。財政課で1部140円で頒布する他、市ホームページからもご覧になれます。

令和5年度に実施した主な事業

まちの姿1 人権が尊重され、市民が主役となるまち
  • 多様な市民層の参加を促すことを目的として、公募市民委員等候補者登録制度を創設
  • 関東大震災100年特集号を発災日である9月1日に全戸配布
まちの姿2 安心して暮らせる安全なまち
  • 住宅等の防犯カメラや人感センサーライト、防犯フィルム設置などへの防犯対策補助制度を新設
  • 関東大震災から100年の節目として、9年ぶりとなる劇場型防災訓練を実施
  • 福祉避難所に消費期限のない物品(哺乳瓶等)や、防災用LEDマルチライトを配備
  • 六郷排水樋管にて、調布市と連携した排水樋管の操作訓練とともに、排水ポンプ車を運用した狛江市消防団による排水訓練の実施
まちの姿3 活気にあふれ、にぎわいのあるまち
  • 「令和5年度 狛江・多摩川花火大会」で約5,000発の花火を打ち上げ、15万人が来場
  • 「グリーンスローモビリティ」の実証運行(和泉多摩川駅~水神前~慈恵第三病院)に併せて、多摩川周辺エリアの歴史スポット等を回遊するデジタルスタンプラリーを実施
  • 狛江駅周辺エリア道路利活用方針に基づき、株式会社小田急SCディベロップメントと連携し小田急マルシェとの一体性を持った整備を実施
  • 狛江駅周辺におけるエリアマネジメントの中核となる地域まちづくり法人「一般社団法人狛江まちみらいラボ」を設立
まちの姿4 子どもがのびのびと育つまち
  • 2世代隣居や近居の需要に対応し子育て世帯に対する親世帯近居等促進助成金を開始
  • 小学校の放課後対策のため、猪方こどもクラブ(定員40人)を開設、和泉小学校放課後クラブの定員を20人拡大
  • 改正道路交通法の施行に伴う、自転車ヘルメット購入費を助成
  • 子どもを産み育てる家庭の支援を目的に、新生児1人につき2万円の出産祝金を給付
  • スポーツ庁の運動部活動の地域移行に向けた実証事業に参画し、練習および練習試合を地域部活動(委託事業者による管理運営)として実施
まちの姿5 いつまでも健やかに暮らせるまち
  • 狛江市第1次地域共生社会推進基本計画、狛江市第1次再犯防止推進計画を策定
  • 乳がんクーポン対象者のうち未受診者への再勧奨を実施
  • 生きがいポイント使用方法のプロモーション講習会や高齢者就労的活動マッチング講演会の実施
  • 福祉カレッジの修了生を中心に構成する福祉のまちづくり委員会を市内3カ所で実施
まちの姿6 生涯を通じて学び、歴史が身近に感じられるまち
  • こまえ市民大学の20周年記念に、宇宙飛行士の山崎直子さんによる記念講演を実施
  • 市民まつりと同日に開催したエコルマ・ステージを実施し、「音楽の街-狛江」事業を推進
  • 西河原公民館の魅力周知のため、一般財団法人地域創造と連携したリージョナルシアター事業を実施
まちの姿7 自然を大切にし、快適に暮らせるまち
  • 令和5年4月よりプラスチック類ごみ分別収集開始
  • 長野県小諸市と2050年脱炭素社会の実現に関する連携協定を締結
  • カーボン・オフセット(森林のCO2吸収量を市のCO2排出量と相殺)の取り組みに向け、茅野市の森林整備費用を一部負担
  • 良好な水空間の形成を目指す「かわまちづくり計画」を策定
まちの姿8 持続可能な自治体経営
  • 公開型・統合型GIS(地理情報システム)を導入し、都市計画図などの地理情報を一元化、3D都市モデルを整備
  • 国の「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用し、福島県矢吹町と共同で地域データ連携基盤(都市OS)を導入
  • 住民参加とスマートシティ推進を担う官民連携組織体「狛江スマートシティ・リビングラボ」を設立
  • デジタルディバイド対策として、スマホ講座等を実施
  • 旧第四小学校跡地利活用に関する基本的な考え方を基に、利活用に向けた検討の開始

普通会計決算の状況

※令和5年度の普通会計決算額は、一般会計決算額から5,477万6,000円の純計処理(会計相互間等の重複額を控除すること)を行っています。

各会計 決算の状況

会計名/区分 歳入決算額 歳出決算額 歳入歳出差引額
一般会計 364億7,712万7千円 344億8,974万円 19億8,738万7千円
特別会計合計 177億9,333万6千円 174億9,628万1千円 2億9,705万5千円
   国民健康保険特別会計 78億8,740万7千円 77億5,748万1千円 1億2,992万6千円
後期高齢者医療特別会計 23億2,931万1千円 23億2,722万6千円 208万5千円
介護保険特別会計 75億2,293万5千円 73億5,803万3千円 1億6,490万2千円
駐車場事業特別会計 5,368万3千円 5,354万円1千円 14万2千円
  合計 542億7,046万3千円 519億8,602万1千円 22億8,444万2千円
公営企業会計 純利益または(△)純損失 経常利益または(△)経常損失 累積利益剰余金または(△)欠損金
下水道事業会計 1億715万4千円 1億712万8千円 3億1,748万9千円

財政指標

区分 令和3年度 令和4年度 令和5年度
経常収支比率 財政構造の弾力性を示す比率 87.7 85.4 87.3
公債費負担比率 借金返済額(公債費)の一般財源総額に対する比率 8.0 7.3 6.7
実質公債費比率 実質的に一般財源で負担した借金返済額等の財政規模に対する比率 1.4 1.1 0.9
将来負担比率 特別会計や一部事務組合等も含め、将来負担することが見込まれる金額の財政規模に対する比率 △4.5 △13.7 △16.2

(単位:%)
※いずれの数値も低い方が良いとされています。
※実質赤字比率(主な行政サービスを行う一般会計等の赤字の程度)および連結実質赤字比率(一般会計、特別会計全体の赤字の程度)の赤字はありませんでした。
※下水道事業会計の資金不足はありませんでした。

市民1人当たり換算額

市民82,102人(令和6年1月1日現在)

  • 1人当たり収入額
    44万4,000円
  • 1人当たり支出額
    42万円
1人当たり支出額内訳
  • 民生費
    社会福祉や高齢者福祉、児童福祉等に関する経費 21万8,000円
  • 教育費
    学校教育や文化・スポーツ振興等の社会教育に関する経費 4万8,000円
  • 総務費
    総務管理、税務、戸籍、選挙、統計等に関する経費  4万6,000円
  • 衛生費
    予防接種や健康診査等の保健衛生や清掃に関する経費 3万3,000円
  • 土木費
    道路や公園等の整備や維持管理に関する経費 3万円
  • 公債費
    借り入れた市債の返済に関する経費 1万9,000円
  • 消防費
    消防や災害対策等に関する経費 1万5,000円
  • その他支出
    議会運営や商工農業振興、消費者行政等に関する経費 1万1,000円

市債

 市の借金である市債は、道路、学校等の公共施設を整備するための建設事業債と一般財源の不足を補うための臨時財政対策債があります。
市債残高は減っているものの、残高の内訳では臨時財政対策債が半分以上(52.5%)を占めているとともに、他団体と比較しても公債費負担が大きいため、引き続き市債借入額を抑制し、残高の削減に取り組む必要があります。

基金

 市の貯金としての役割がある基金は、経済状況等に対応するための積み立て分である財政調整基金と、特定の目的のために積み立てている基金があります。
財政調整基金は引き続き、20億円を超える残高を確保できました。基金残高は一時に比べると増加しているものの、他団体と比較すると少なく、今後も見込まれる社会保障費の増加や公共施設の更新に備え、引き続き積み増ししていく必要があります。

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財政課