離婚後の親子の面会交流の法制化と支援を求める意見書

 

日本では,同居親(子どもを実際に育てている親)が子どもとの面会交流(面接交渉)を拒めば,それだけで別居親と子どもとの交流が絶たれる。民法の規定には,別居親と子どもとの交流についての文言がなく,別居・離婚後の親子の交流は,調停を経て裁判所で面会交流についての取り決めを行ったとしても強制力がないため,親子の交流は同居親の意向に左右されているのが実態である。

 離婚は婚姻関係の解消であり,親子関係の断絶ではない。

 子どもの権利条約は,第9条第1項で親子の非分離を定め,さらに第3項では「締約国は,児童の最善の利益に反する場合を除くほか,父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。」と定めている。

 日本以外の多くの国では,子どもの権利条約に準じ,法律で頻繁な面会交流を保障するためのルールが決められている。それが子どもにとっての利益だとされているからである。実効性を確保するために,面会交流の拒否には強制力も用意されている。

 離婚後親子を引き離してしまうことは,別居親に対する人権侵害であるばかりか,子どもにとって相当の心理的負担になり,人権侵害で虐待であると考えられているからである。

 先進国では唯一日本のみである離婚後の単独親権制度や面会交流が明文化されていないことは,離婚時における子どもの奪い合いを激化させる原因にもなっている。

 多様な親子や家族のあり方が模索される中で,これ以上子どもが親同士の紛争の犠牲となることは避けなければならない。

 よって狛江市議会は政府等に対し,離婚しても豊かな親子の交流ができるよう,下記事項の実現を強く求めるものである。

 

 

1 離婚後の親子の面会交流への公的支援体制を確立すること。

2 強制力の付与など実効性のある面会交流が可能となるような法整備を行うこと。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

    平成21年(2009年)3月26日

                                         東京都狛江市議会    

 

  内閣総理大臣

  法  務   大  臣

  厚生労働大臣    様 

  衆 議 院 議 長 

  参 議 院 議 長

  最高裁判所長官

       

                                  平成21年3月26日原案可決