狛江市総合的な主権者教育計画(第2期)では、第1期計画に引き続き、主権者教育を、「障がいの有無にかかわらず、すべての子どもたちをはじめとした当事者が、社会的意思決定を学ぶこと」と幅広く捉えるほか、「生きる上で必要な教育かつ育んでいくべき能力」として捉え、第1期計画をもとに推進してきた「情報」及び「体験」を通した発達段階に応じた取組を活かしていくとともに、狛江市の最大のレガシーである知的障がい者等への取組について、行政内部の連携はもちろん、学校や支援団体等、各機関が連携を図り、有機的かつ相乗的で継続的な事業展開を図ります。

1 本計画が目指すべき主権者像

 第1期計画の主権者像を引き継ぎ、目指すべき主権者像を社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、自ら考え、意思決定し、行動できる人材とし、障がいの有無や成長段階にかかわらず、主権者として行動できるよう教育・支援を行っていくとともに、それぞれが市のまちづくりへ参加・協働していけるような人材を目指します。

 

2 基本方針

 目指すべき主権者像の達成のため、3つの基本方針を定め、効果的な主権者教育を実践しながら、各取組を進めていきます。

(基本方針1) 成長や発達段階、発達状況に応じた取組の充実

 主権者教育を推進していくためには、幼少期の段階から「自ら考え、意思決定をしていく」環境や機会が必要不可欠であることから、子どもの成長段階に応じ、自身の生活に係る身近なテーマや現在の社会問題に係るテーマ等について、「自ら考え、意思決定をし、行動に移していく」というプロセスを意識しながら、様々な体験等の取組を実施し、主権者教育を推進していきます。

 また、狛江市では、知的・発達障がい者への投票支援を先進的に進め、障がい者支援施設では、身近なテーマで模擬投票を行っているほか、市民団体と協力して「わかりやすい主権者教育の手引き」を発行する等、知的・発達障がい者の状況に応じた主権者教育に係る取組を実施してきた狛江市独自のレガシーとして、各取組に効果的に取り入れながら、横断的に推進していきます。

(基本方針2) 家庭・関係施設に係る取組の充実

 主権者としての意識を涵養するためには、人格形成の基礎を培うため、社会とのかかわりを自ら意識し、その機会を増やしていくことが大切です。そのためには、家庭等の理解と協力が必要不可欠であり、家庭等における日常生活の中で、当事者の主権者としての行動を養っていくため、働きかけをし、自ら意思決定をしていく機会を積み重ねていくるほか、親や家庭、支援者の意識の醸成が図られるような工夫をしながら、取り組んでいきます。

(基本方針3) 主権者教育に係る情報支援の充実

  主権者として、社会の中で「自ら考え、意思決定をし、行動に移していく」ためには、現代社会に対して、関心を持つことが必要です。障がいの有無にかかわらず、当事者は日常生活を送っていく中で、様々な情報に触れることで、社会の現状を把握していくことからも、当事者にとって、「正しく・わかりやすい情報」が必要です。数ある情報の中から、当事者が「正しく・わかりやすい情報」を適切に選択し、理解し、それを活用していくことが、社会への関心へつながり、主権者教育の第一歩となることから、適切な情報支援を行っていきます。
 

3 今後の取組について

 主権者教育を「自らが社会的意思決定を行うことを学ぶこと」という定義のもと、目指すべき主権者像である「社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、自ら考え、意思決定し、行動できる人材」を育成していくために、第1期計画に引き続き「体験」と「情報」という2つの観点からアプローチし、取組を進めていきます。

今後の取組(体系図)

〇:既存事業

★:新規事業

【主な対象者】
幼:就学前、小:小学生、中:中学生、
高:高校生、成:成人(大学生含む)、
障:障がいのある方 

 

情報

○ 【高】高校生のための選挙セミナー

○ 【障】投票支援DVD

○ 【幼・小・中・高・成・障】情報のバリアフリー化(わかりやすい演説会、わかりやすい選挙広報誌、わかりやすい政見動画等の活用)

○ 【障】特別支援学校等の教員への主権者教育

★1【障】主権者教育推進の普及(わかりやすい主権者教育の手引き等)

 これまで狛江市が取り組んできた主権者教育の推進に向けた取組等について、市や市民団体が積み上げてきた経験やレガシー、わかりやすい主権者教育の手引き等の資源を活かしながら、市内外への主権者教育の推進に向けた普及を進めていきます。

★2【幼・小・中・高・成・障】親子が選挙について学べる機会の創出

 まなび講座において、小学生・中学生・高校生・障がいのある方と年代や環境に応じた講座とするほか、親子での参加等についても対応する等、親子が共に選挙について学べる機会を提供することで、家庭での話し合い活動にもつなげていきます。

★3【高・成】高校・大学世代への働きかけ

 成年年齢の引き下げに伴い、18~19歳でも成人として扱われます。例えば、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになることにより、消費者トラブルの被害に遭いやすくなる等も考えられることからも、消費者行政の推進を始めとして、知識の習得や責任のある行動がとれるよう、高校生及び大学生世代へのサポートや啓発、情報提供等の充実を図っていきます。

体験

○ 【小・中・高・障】模擬選挙

○ 【高】高校生による選挙投票事務

○ 【障】体験投票

○ 【小・中・高・障】選挙機材・議場の貸出

○ 選挙の実践支援

★4【小・中】地域課題解決型 子ども議会

 学校と異なる環境の中で、子ども自身の主体性のもとに地域レベルの問題の発見と課題提起を行う「ワークショップ」と、議会制度を通じて地域課題の解決を目指す「子ども議会」を一体的に展開することで、地域レベルの課題の発見から解決までの過程を“疑似体験”するとともに、この過程を通じて、身近な問題に主体的に取り組み、意見表明を行える主権者の育成を図ることを目的とします。

 併せて、この事業の参加者が次年度の「ジュニアサポーター」となって次年度の事業にかかわることで、地域における主権者の “継続的な” 育成と、子ども同士での「教える⇔教わる関係」を意図的に創出します。

★5【小・中】議場体験・議場を用いた活動発表

 議場を間近に体験することで、政治的な知識を身に付けていくほか、校内委員会の活動発表等について、議場を活用していきます。また、小中学校の議会・議場に関する見学等についても受入れ、体験を通した知識の習得の一助とします。

 なお、活動発表については、現在は小学校で実施している取組ですが、今後は中学校等の年齢層及び障がいのある方等の対象範囲の拡大についても検討していきます。

★6【幼・小・中・高・成】親子で選挙に来てもらう啓発

 親子で一緒に選挙に行くことは、将来の投票参加に効果的であるという考えとともに、主権者教育としても、他では得ることができない貴重な学習の機会となることから、家族そろっての投票を積極的に働きかけていきます。また、社会的にも子どもが投票所に入ることについても徐々に緩和され始めていることからも、社会情勢に応じた対応を行っていきます。

情報・体験

○小学校における主権者教育 小

○中学校における主権者教育 中

○【小・中・障(★7:幼・高・成)】適性に応じた主権者教育

 障がいの特性に応じた主権者教育(意見や考えを述べる場や機会の提供)について、更に成長段階を広げ、幅広い世代、人に主権者としての行動が身に付くよう働きかけを行っていきます。

 

※本計画に掲載する取組は、第1期計画から引き継いだものを多くまとめていますが、取組の実施については、新たな基本方針を念頭に置きながら実施をしていくだけでなく、事業対象となる世代や範囲の拡大及び実施方法への新たな工夫等を加えていくほか、現状実施している既存事業や今後新たに実施する取組においても、本計画の趣旨に則り、実施することで、更に主権者教育を推進していきます。

 

4 わかりやすい主権者教育の手引き