たばこ・今むかし~禁煙への取組み~

 昭和60年4月にたばこの専売制度が廃止されて間もない昭和62年10月、国が肺がん、喉頭がん、心筋梗塞、受動喫煙などとの関連を取り上げて警告したことから次第に健康問題として論じられるようになった。
 また、平成12年4月に世田谷区が喜多見駅周辺を「ポイ捨て防止条例」重点地域に指定したので、環境美化の面からも規制が厳しくなり、たばこに対する規制はその後次のように行われている。
 平成13年ごろになると、健康志向の高まりと、世界的なたばこ規制の動きに、たばこを吸う人と吸わない人との分離が行われるようになり、レストランなどでも禁煙席や喫煙席が設けられるようになった。
 平成15年3月、国は受動喫煙防止を義務付ける「健康増進法」の内容を発表し、厚生労働省でも事業所に対し、禁煙コーナーから喫煙室へ、空気清浄機から屋外への排出を勧めている。
 同年5月1日、「健康増進法」の施行と同時に私鉄駅での全面禁煙が実施され、狛江駅でも駅の喫煙コーナーや灰皿が撤去され、7月からはたばこ税の増税が行われた。
 平成16年4月以降、オール東京市町村共同事業本部主催の「喫煙マナーアップキャンペーン」がたびたび実施され、狛江市でも啓発物の配布を行った。
 平成17年4月、健康づくりの目標として、「健康こまえ21(狛江市保健計画)」が策定され、公共施設の全面禁煙が掲げられた。
 平成20年7月、全国でICカード(タスポ)方式の成人識別たばこ販売機が稼動を始めた。
 平成23年4月1日、広報こまえで「路上喫煙禁止条例策定委員会市民委員(喫煙者・非喫煙者、計4人)」を募集し、さまざまな面から調査・意見の聞き取りを行った。
 平成24年1月、厚生労働省ががん対策として喫煙者4割削減の目標を求めている。
 それらを受けて狛江市では平成27年4月1日から「狛江市路上喫煙等の制限に関する条例」が施行された。たばこを吸う人と吸わない人が共存できる環境づくりを目的に、(1)市内全域(公園・河川敷など公共の場所を含む)で歩きたばこ(自転車やバイクで走行中も含む)やポイ捨てをしてはいけないこと(2)駅周辺など重点地区では市が指定した場所以外では路上喫煙をしてはいけないこと(3)駅周辺など重点地区では指導員が巡回して違反者を指導するなどを骨子としている。
 さらに平成31年1月からは重点地区で違反した者には過料を課すことができるようになり、平成30年には狛江駅北口に、令和元年には南口にアクリル板で囲った喫煙箇所が誕生した。

 井上 孝
 (狛江市文化財専門委員)