高齢者福祉施策について
第1次地域共生社会推進基本計画に基づく高齢者福祉施策について
【基本理念】
全ての市民が、生涯にわたり個人として尊重され、支え合って、誰もが排除されない地域社会の実現を目指します。
1.基本的価値観
(1)「全ての市民が、生涯にわたり個人として尊重されること」
全ての市民がどのような状況に置かれたとしても、個人として尊重されることは、狛江市福祉基本条例第3条第1項の規定により掲げる市民福祉の基本理念であり、認知症施策、障がい者施策、権利擁護支援施策等様々な施策を推進するに当たり、共通する基本的な価値観です。
(2)「全ての市民が支え合うこと」
かつては、地域の相互扶助、家族同士の助け合い等の支え合いの機能が存在しましたが、少子高齢化の進展や家族形態の変化等により、支え合いの基盤が弱まってきています。
このような状況を踏まえ、市は、福祉及び保健関係部署のみならず、全ての部署が一体となって、市民及び事業者とともにそれぞれの役割を果たしながら、地域福祉の推進のため、包括的な支援体制の構築を進めるとともに、相互に支え合うことを通じて、多様性を認め合い、安心して暮らせるまちづくりを進めていく必要があります。
2.目的
本計画では、1で掲げた基本的な価値観のもと、全ての市民のであい、ふれあい、ささえあいを大切にし、潤いと安らぎのある福祉のまちづくりを進め、市民誰もが排除されない地域社会の実現を目指します。
【基本目標】
基本理念を実現するために本計画の計画期間内(令和6年(2024)年度~令和11(2029)年度)において、次のとおり5つの基本目標と高齢者福祉施策等を掲げています。
基本目標 |
施策等 | |
---|---|---|
【基本目標1】 一人ひとりの状況に合わせた切れ目のない相談支援体制の構築 |
※高齢者福祉施策等については、該当なし |
|
【基本目標2】 「つながり」を実感できる地域づくり |
【施策】№2-2 地域住民、地域関係団体、専門職等の共助を高める避難行動要支援者支援体制の充実を図ります。 【現状・課題】 ・避難行動要支援者の対策として「地域での協力体制づくりの支援」が最も求められており、市民意識調査によると、家族以外の近隣の避難行動要支援者に「安否確認」をすることができると回答した市民が68.5%、「安全な場所への避難の手助け」をすることができると回答した市民が63.1%います。 ・災害対策基本法等の一部を規制する法律(令和3年法律第30号)を踏まえて、計画作成の優先度が高いと市町村が判断する者については、地域の実情を踏まえながら地域防災計画の定めるところにより、改正法施行(令和3年5月20日)からおおむね5年程度で個別避難計画の作成に取り組むものとされています。 【重点取組】 ・市が主体となり、作成の優先度の高い避難行動要支援者から福祉・医療関係者と連携して個別避難計画の作成・改定の推進 ・公開型及び統合型地理情報システム(GIS)を活用した個別避難計画の作成・改定の推進 ・統合型GISを活用した避難行動要支援者名簿・個別避難計画の避難支援等関係者への情報共有、安否確認・避難支援体制構築の推進
【施策】№2-5 地域における見守りや一人暮らし高齢者の見守りを強化します。 【現状・課題】 ・高齢期はもとより、全ての世代において独居者が増加し、孤独・孤立の問題も深刻化するおそれがあります。 ・今後の在宅生活を継続するためには「見守り、声掛け」の支援が必要であり、特に一人暮らし高齢者で必要とされています。 【重点取組】 ・緊急通報装置等の機器を活用した見守り事業の推進 ・地域住民、事業者等による「ながら見守り」の実施
【施策】№2-6 認知症の「共生」と「予防」を推進します。 【現状・課題】 ・認知症の人が集える場、他者と交流できる場、活躍できる場が少なく、かつ、そこまでの移動手段が不足しています。 ・地域住民、介護事業所、店舗、交通機関、警察、医療機関等が一体となり、地域で暮らす認知症の人や家族を見守り、支援する体制が求められます。 【重点取組】 ・認知症基本法の基本理念等を踏まえた取組の推進 ・認知症に関する理解啓発活動の実施 ・認知症サポーター(キッズサポーター)の養成 ・チームオレンジの活動支援・新設 ・認知症の特性を踏まえた介護サービスの提供・確保 ・認知症予防事業の拡充 |
|
【基本目標3】 社会参加を進めるシステムづくり |
【施策】№3-3 権利擁護支援の必要な市民が尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できる環境整備を推進します。 【現状・課題】 ・権利擁護支援を必要としている人の中には、地域社会とのつながりが希薄で孤独・孤立の状態に置かれている人もいます。そのため、権利擁護支援を必要としている人に対し、住民同士のつながりや支え合い、社会参加の支援を充実させることが重要です。 ・本人への支援を適切に行うためには、権利擁護支援が必要な人を中心に、本人の状況に応じ、本人に身近な親族等や地域、保健、福祉、医療の関係者等が、協力して日常的に本人を見守り、本人の意思及び選好や価値観を継続的に把握し、必要な権利擁護支援の対応を行う仕組みづくりを推進する必要があります。 【重点取組】 ・権利擁護支援チームと重層的支援体制整備事業との連携を図り、本人等への権利擁護支援及び地域への参加の支援等の仕組みづくりの推進
【施策】№3-4 高齢者が地域の中で元気に活躍できる環境整備を推進します。 【現状・課題】 ・人生100年時代には、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会を作る必要があります。 ・社会参加の機会は、生きがい、健康維持、孤立防止等につながるとともに、世代間、世代内の人々の交流を深めて世代間交流や相互扶助の意識を醸成するものであることから、こうした活動の推進や参画支援を図る必要があります。 ・狛江市シルバー人材センターの会員数及び就業実人員(請負)は増加しており、就業実人員(派遣)も増加傾向ですが、就業率(請負)、就業率(派遣)は減少しており、就労の場の確保が求められます。 【重点取組】 ・高齢者が地域で元気に活躍できる環境整備・事業の充実 ・高齢者の就労、社会参加、生きがいづくりの支援 ・シルバー人材センターの運営支援 |
|
【基本目標4】 総合的で切れ目のない生活支援システムづくり |
【施策】№4-2 ケアラーを支援する体制整備を推進します。 【現状・課題】 ・在宅の要介護高齢者のうち約半数の方がほぼ毎日家族・親族からの介護を受けています。 ・主介護者の6割以上の方が60歳を超えています。 ・主介護者の約25%の方が認知症の対応にストレスを感じています。 ・主介護者の約3割が認知症への対応が就労継続のリスクと感じています。 ・認認介護、遠距離介護、就労、育児とのダブルケア、ヤングケアラー等様々な事情を抱えたケアラーへの支援の充実が求められます。 ・市域を越えてダブルケアを行う人や若年性認知症の人の介護者等が同じ立場や境遇の人と交流する機会を確保していくことが求められています。 【重点取組】 ・ケアラーに関する情報提供、相談支援窓口の周知 ・重層的支援体制整備事業を活用したケアラー支援体制の整備 ・ケアラーのニーズを踏まえた当事者同士の集いの場の確保
【施策】№4-3 住宅確保要配慮者の状況に応じた住まいの確保に向けた支援体制を推進します。 【現状・課題】 ・高齢者の場合、居室内での死亡、死亡時の残置物処理等を理由として民間賃貸住宅への入居を断られることがあり相談を受けています。 【重点取組】 ・居住者支援協議会による相談支援機能の強化 ・身寄りのない市民等への支援体制の強化
【施策】№4-4 多様な福祉人材の確保・育成に向けた支援体制を充実させます。 【現状・課題】 ・介護保険サービス需要や給付費は増加する一方、生産年齢人口は急速に減少することが見込まれているため、人材確保に向けた早急な対応が必要とされています。 ・地域共生社会の実現のための人材育成という観点も重視して市民後見人等を育成し、活躍を支援することが求められています。 【重点取組】 ・市民後見人・生活支援員のみならず、多様な権利擁護支援の担い手の育成 ・介護人材確保対策の推進
【施策】№4-6 社会情勢の変化に合わせた高齢者の生活支援サービスの充実を図ります。 【現状・課題】 ・単身や高齢者のみの世帯の増加、介護ニーズが急増する状況等を踏まえ、柔軟なサービス提供によるケアの質の向上や、家族負担の軽減に資するよう、地域の実情に合わせて、既存資源等を活用した複合的な在宅サービスの整備を進めていくことが重要です。 ・介護保険制度の枠内で提供されるサービスのみでなく、インフォーマルサービスも含め、地域の受け皿を整備していくべきであり、生活支援体制整備事業を一層促進していくことが重要です。 【重点取組】 ・社会状況の変化に合わせた事業の再構築 ・個々のニーズに対応した生活支援体制整備 ・高齢者のデジタルデバイド解消に向けた支援
【施策】№4-7 健康づくりと介護予防・フレイル予防を推進します。 【現状・課題】 ・徒歩圏内で運動できる場所の確保や、集合方式ではない方法を活用する場合の運動習慣の定着化に向けた環境整備が求められています。 ・コロナ禍の影響で高齢者の心身機能の低下、うつの進行が見られるとともに、感染症への恐怖から今もなお外出を自粛している高齢者がおり、その対策が求められています。 ・より長く生き生きと地域で暮らし続けることができるよう多世代交流や就労的活動を含めた介護予防や社会参加の場の充実を図る必要があります。 ・介護保険者が被保険者等に係る医療・介護情報の収集・提供等を行う事業を医療保険者と一体的に実施する必要があります。 【重点取組】 ・介護予防、フレイル予防の推進 ・アクティブシニア支援事業の検討及び実施 ・保険事業と介護予防の一体化事業の実施
【施策】№4-8 地域密着型サービスの整備を推進します。 【現状・課題】 ・前計画で小規模多機能型居宅介護又は看護小規模多機能型居宅介護の整備を推進してきましたが、新規の整備にはつながりませんでした。 ・中長期的な地域の人口動態や介護ニーズの見込み等を適切に捉え、地域の実情に応じて介護サービス基盤を計画的に確保していく必要があります。 【重点取組】 ・小規模多機能型居宅介護又は看護小規模多機能型居宅介護の整備の検討
【施策】№4-9 介護サービスの給付の適正化を推進します。 【現状・課題】 ・保険者が本来発揮するべき保険者機能の一環として自ら主体的・積極的に取り組むこと。また、適切なサービスの確保と、その結果としての費用の効率化を通して、介護保険制度への信頼を高め、持続可能な介護保険制度を構築するため、介護サービスの給付の適正化について、取り組むことが求められています。 【重点取組】 ・要介護認定の適正化と事務の効率化の推進 ・ケアプラン等の点検の実施 ・医療情報との突合・縦覧点検の実施
【施策】№4-10 介護施設・事業所における適正な運営を支援します。 【現状・課題】 ・介護保険制度への信頼を維持していく観点からも、介護給付等対象サービスを提供する事業者に対する指導監督等について、都道府県と保険者である市町村が十分に連携して対応していくことが求められています。 ・地域包括ケアシステムの構築に当たって、介護給付等対象サービス等に携わる質の高い人材を、安定的に確保するための取組について、都道府県は広域的な立場から、市町村は保険者として地域で取組を進める立場から、取組を推進することが求められています。 【重点取組】 ・介護施設・事業所の指導検査の実施 ・施設・事業所の感染症対策の推進 ・介護人材確保対策の推進 |
|
【基本目標5】 多機関で協働して支援に当たる体制の構築 |
【施策】№5-4 権利擁護支援の地域連携ネットワークを活用し、権利侵害を防止する体制の構築を推進します。 【現状・課題】 ・虐待等の権利侵害を防止するためには、権利擁護支援が必要な方の生活状況を的確に把握し、本人の生活状況に応じた地域で権利擁護支援関係者が連携して支える体制の構築が求められています。 【重点取組】 ・権利擁護支援の地域連携ネットワークを活用した権利侵害の防止体制の構築の推進 ・地域包括支援センター及び基幹相談支援センターによる権利擁護支援及び事業所間の連携強化の推進
【施策】№5-5 介護サービスと医療の連携・協力体制を推進します。 【現状・課題】 ・要介護度が高くなるにつれて、訪問診療の利用割合が増加する傾向が見られます。 ・看取りまで視野に入れた在宅生活の継続を実現するためには、在宅医療と介護の多職種連携をさらに進めていく必要があります。 【重点取組】 ・医療と介護の連携事業の継続実施
【施策】№5-6 年齢にかかわらず、サービスを適切に受けられるよう、介護保険サービスと障がい福祉サービスの連携を推進します。 【現状・課題】 ・障がい者の高齢化が進んでおり、介護と障がいの支援者が共に学ぶ機会を確保し、双方の制度を理解し、役割分担・連携を行っていくことが求められています。 ・障がい福祉サービス事業所から介護保険サービスへ移行する「65歳の壁」の問題に対し、移行がスムーズに行えるよう調整し、支援できる仕組みが求められています。 【重点取組】 ・主任介護支援専門員を対象とした障がい福祉制度の勉強会等の実施 ・障がいサービス事業所と介護保険サービス事業所の交流機会の創出
【施策】№5-7 介護保険サービスの質の向上を目的として事業者間の連携を強化します。 【現状・課題】 ・適切な居宅サービス計画又は介護予防サービス計画を作成することができるよう、介護給付等サービスの事業又は指定居宅介護支援等の事業を行う者に関する情報の提供のための体制整備、介護給付等対象サービスの事業又は指定居宅介護支援等の事業を行う者相互間の情報交換のための体制整備等が求められています。 【重点取組】 ・各種連絡会の開催 ・介護関係者サイト「ケア倶楽部」を通じた介護関係情報の共有 ・国等の介護情報基盤整備に伴う対応 ・介護事故情報の共有 |
|
※施策№については、第1次地域共生社会推進基本計画の施策体系図に基づくものとなります。