1 日時

平成30年11月1日(木曜日)午前9時~午後0時10分

2 場所 狛江市内
3 出席者

部会長    葉山 嘉一
職務代理   杉本 一正
委 員    馬場 健司
       川﨑 貴志
       白井 真一
       白井 和恵
       小川 保
       竹本 久士
       篠  清治
       由井 敏雄
       幸野 智恵
       環境政策課長 植木 崇晴
事務局    環境政策課環水と緑の係長 大久保 正紀
環境政策課水と緑の係主任 海老原 悠輔
環境政策課水と緑の係主事 丸山 雄規

4 欠席者 なし
5 議題

1 現地視察
(1)野川・野川緑道・西野川樹林地
(2)西河原公園
(3)多摩川(狛江水辺の楽校)
(4)狛江弁財天池特別緑地保全地区(泉龍寺含む)
(5)その他、視察中のご意見・情報提供等
2 総括
3 その他 

6 資料

資料1 狛江市生物多様性地域戦略策定検討部会現地視察資料
(資料内容)
・視察ルート
・視察地の資料
・自然環境に係る統計データ
・参考資料1 第1回狛江市生物多様性地域戦略策定検討部会の主な意見と対応
・参考資料2 狛江市空中写真・緑被等区分図
別添資料 西河原公園“ちょこっとビオトープ”
別添資料 意見・感想等記入シート

7 会議の結果

1.現地視察
(1)野川・西野川樹林地・野川緑道

事務局

 当該視察地の概要について説明
○部会員

 私たちの会は、世田谷区、狛江市、調布市の住民有志で構成され、谷戸橋を中心に、川に親しみ、自然や伝統を守ることを目的としている。取組みとしてはゴミ拾いや自然観察会を行っている。ゴミ拾いは小足立橋から小田急線野川橋梁までの範囲を2~3週に一度実施しているが、毎回たくさんのゴミが出る。
 問題点としては、現在実施中の治水事業が挙げられる。現在の野川は昭和40年代に付け替えられた新流路で、直線化されている。当時は30mm/時の降雨に対応できる治水能力で整備されたが、最近のゲリラ豪雨等に対応するため、65mm/時の降雨に対応できるよう、治水能力を高めることとなった。具体的には掘削により高水敷を狭める工事が始まっている。来年度から狛江市内でも着工し、7工区に分けて工事を行う予定だと聞いている。工事中は川の流れを止めるため、澪筋が消滅し、自然環境に大きな影響が出る。治水対策も大切ではあるが、地域住民などから自然環境が維持されるよう都への働きかけが必要になる場合もあると考えている。また、河川に生えているヨシやガマについてだが、世田谷区で工事を行った際には移植による対応を行っていた。狛江市区域ではどうするのかといった課題も想起される。高水敷に手が加わることで、生態系に影響がでることが懸念される。
 野川は11月~4月にかけて渇水期で、水量が減るため、この時期に施工することとなっているが、工事が5月まで長引く恐れもある。その場合、アユが遡上できなくなる(今年は野川公園で遡上が確認された)。遡上に間に合うよう、工事を終了してもらいたいと思っている。高水敷が狭くなり、草も刈られると、バッタ類が生息しにくくなると考えられる。また、直線水路は出水後、あっという間に水が引くため、小魚が取り残されて死滅するので、排水を少しゆっくりさせたいと考えている。治水と環境の両面を考えながら、都(北多摩南部建設事務所)や施工者と関係会議などで話し合いが行われている。なお、野川の狛江市部分の除草については、水際から1m以内の部分を刈り残すほか、30mスパンで刈り残す除草を年3回実施している。
○部会員

 野川の沿川自治体、市民団体、市民の皆様から構成される「野川流域連絡会」が設置されており、流域単位での連携を図っている。狛江市からは私と部会員1名が参加している。情報や意見の交換、提案を行っているほか、野川公園の生きもの調査や、ほたる川、ひょうたん川の維持管理活動を行っている。
○部会長

 緑道にトウネズミモチが生えており、注意を要する。また、種子が樹林地から飛んできたと考えられるが、ムクノキの幼木が生えている。緑道にこれ以上巨木はいらないという意向であれば、切るべきである。ツツジの植栽により、多様性が損なわれている。林床の多様性を高めることも今後検討したほうがよい。
○部会員

 野川緑道が野川の旧流路とのことだが、現在の緑道の幅は旧流路のどういう幅なのか。
○部会員

 水面の幅だったところになる。岩戸川緑道も旧岩戸川の跡地とのことだが、清水川は現在では殆ど跡形もない。

 

(2)西河原公園
○事務局

 当該視察地の概要について説明
○部会員

 プレーパークでは、プレーワーカー2名を配置し、毎週月~水曜と隔週土曜日曜に開設している。遊びに来る子どもたちの中には自然に詳しい子もいる。
○部会員

 ほったらかし草むらにアメリカセンダングサが育っている。
○部会員
 できれば小さいうちに取り除いた方がよいかもしれない。

 

(3)多摩川(水辺の楽校)
○事務局

 当該視察地の概要について説明
○部会長

 京浜河川事務所では、多摩川の本流(特に羽村堰より下流)を軸に流域の自然をどう扱うか、見直しの検討が始まっている。沿川自治体間で調整・整合させることが大事である。環境は川の流れに並行して、水域-湿地-乾燥地と帯状に分布する。また、河川は破壊と同時に堆積も起こっているという重層的自然構造を持っている。これを人為的にコントロールするのは困難なので、河川を改修する際には、破壊される場所と堆積が起こる場所を頭に入れて取り組む必要がある。また、狛江市域だけでは、そういった河川の変化は完結しないので、上下流の自治体間で連携することが望ましい。
○部会員

 「多摩川流域懇談会」を組織して連携を進めている。懇談会の取組みとしては、相澤伴主に関するセミナーや関戸の戦いに関するセミナーなど、歴史系の講演会を開催しているほか、まるごと多摩川まつりの企画運営などを行っている。
○部会員

 狛江探鳥会は保護的な取組みを行なうというよりも、単純に鳥を見たい、鳥の名前を知りたいという人々が集まっているクラブである。狛江市内の多摩川の環境は多様であり、餌となる生きものやすみかとなる場所があり、鳥にとっては住みよいところだと思う。年間50~70種、約3,000羽の野鳥が観察できる。
 問題点はいくつかある。まず外来種の問題。アレチウリやアメリカセンダングサの繁茂が進んでいる。次に河川整備の問題。グラウンドの水際部のヨシが刈られるのだが、防火のために全面刈られてしまっている。そして倒木の扱いについての問題。倒木はキツツキなどの餌場となるため、処分と野鳥の生活との折り合いをつけることが必要である。水辺の楽校のあたりは堆積しやすい場所となっているため、流れ着く大量のゴミも問題となっている。
 近年、鳥類が大きく減少するようなことはなく、逆にカワセミは増えた。昔はコアジサシが堰堤の上で営巣し雛も巣立ちしていた。最近も堰堤の上などで産卵するが、最近多摩川で増えているカラスに食べられてしまう。集団で営巣できていれば追い払うこともできるが、数も少なく難しい。コチドリ、イカルチドリについても水辺の楽校近くの礫河原で営巣するが同様である。人間が長時間観察しているとカラスに卵の場所を悟られ、狙われてしまうので気をつけている。

○部会員

 水辺の楽校は止水から流水まで、さまざまな環境がコンパクトに詰まっている空間である。植物約150種、動物約200種が確認されている。カワニナや淡水シジミが生息しているのは市内でここだけである。カワニナは元々生息していたもの。タヌキのため糞も見られる。
 狛江水辺の楽校運営協議会では「水辺の楽校に持ち込まない、楽校から持ち出さない」ことを原則としている。年に2~3回除草しているほか、粗朶積みや、オイカワ、アユの産卵場づくりを行っている。

 

(4)狛江弁財天池特別緑地保全地区(泉龍寺含む)
○事務局 

 当該視察地の概要について説明
○部会員 

 開放するのは月に1回だが、環境のためというよりもむしろ、狛江弁財天池特別緑地保全地区市民の会の人数等様々な課題によってそうなっている部分がある。この場所は狭いが多様性は高い空間である。管理の面では、見て楽しく多様性も保たれるよう留意しており、個人的な表現としては「いいヤブ」を目指している。門の外側の園路も含めて、掃除、管理、落ち葉片付けなどを行っている。
 かつて宅地であったこともあり、庭木が植えられていた。その後保全地となった際に、行政がコナラやクヌギを植えている。それ以外の木は鳥が種子を運んできたものと考えられる。植生遷移や樹木の巨木化にどこまで対応できるかが課題となっている。クサギ(アゲハチョウが訪花・受粉する)やアカメガシワは大きくなり過ぎないように管理している。外来種でも食草などとして役立つものは残すこともある。調査結果として、外来種のツタについての指摘があったが、会としても認識しており、全駆除まではいかないが、範囲が広がらない範囲での管理を行っている。

 

(5)その他、視察中のご意見・情報提供等
○部会員 

 学校の近くに歩いていける公園などがあると利用しやすい。公園の観察ガイドブックなどがあると授業で活用しやすいかもしれない。学年ごとの学習テーマによっては、近くの公園に自然の素材(どんぐりや落ち葉等)を探しにでかけ、それを元に創作をしたりすることもある。
 社会科などでは「地域を知る」というテーマのもとで、地域の情報に基づく副読本を作っている。ただ、最近はまだ経験の浅い若い先生などは狛江市内の事をよく知らないことも多い。加えて、やらないといけないことも多く、知る時間の余裕もないのが現状である。今回の生物多様性地域戦略の策定がそういった教育活動に活用できるようなものに繋がると良い。授業についての検討や情報共有を行う場などで、市内の自然を視察する研修会などができるとよいかもしれない。
○部会員 

 カラスによる農業被害がひどい。特に多摩川河川敷にある畑は心配である。ハクビシンは、よく電線の上を歩いているのを見かける。家の天井裏に入り込んで子どもを産んだことがあり、市や業者に頼んで追い出してもらった。追い出した後、大工に頼んですき間等を埋めたりしたので大事だった。

 

2.総括
○部会長 

 今日は狛江市内の自然のコアとなる部分を見ることができた。市街化が進んだ市の中で、なんとか自然が維持できていると感じた。また、狛江市内の自然の質を理解することができた。今日見たものを今後の会議に役立てたいと思う。

 

3.その他
○事務局 

 部会員の日程調整により、次回会議は1月22日(火曜日)午後4時から開催する。場所は改めて文書でご案内させていただく。また、意見・感想等記入シートを後日事務局へ提出していただきたい。
○部会長 

 その他、部会員から何かあるか。
 <意見なし>
○部会長 

 それでは、本日は閉会とする。