平成5年から毎月連載している「今はむかし」が今号で300回目を迎えました。連載期間は25年に及びます。
 また、今回が平成最後の広報こまえです。
 令和が素晴らしい時代となることを願います。

 平成元年7月、成城学園前から和泉多摩川間の高架複々線工事が始まった。それに先駆けて行われた埋蔵文化財発掘調査では沿線各所から縄文時代や古墳時代の遺跡が発掘され、中には太平洋戦争中に埋められた陶器製の湯たんぽまで掘り出された。
 発掘後工事は順調に進み、平成7年3月25日の夜、この日まで小田急線の線路の上を通っていた世田谷通りを地上に下ろし、小田急線の線路を世田谷通りの上にする工事を煌々と照らされたライトの下で夜通し行っていた。そして翌朝から電車は高架線を通ることになった。
 高架線の完成により13の踏切が全て無くなったので、渋滞がなくなるとともに南北の行き来に時間が読めるようになったし、緊急出動の消防車や救急車が電車の通過を待つことなく現場に行けるようになった。そして平成8年11月15日から新しい上りホーム、翌年4月27日から駅舎の使用が始まった。
 しかし、狛江三叉路と多摩水道橋の間の渋滞は続いた。その頃の水道橋は片側一車線ずつで幅が狭い上に、川崎側で中野島方面に右折する自動車が進路をふさぎ、直進する自動車さえ進むことができなかったのである。平成7年5月に上流側に新しい橋ができて渋滞が緩和され、さらに平成13年に二本目の橋が完成し、右折帯まで造られたので渋滞も解消し、かつて連日のようにラジオで放送されていた「狛江三叉路渋滞何キロ」という交通情報は聞かれなくなった。
 狛江駅北口の再開発も市民生活を豊かにしてくれた。市内各所から来るバスは皆駅前に乗り入れ、広場を囲む商店街は夜遅くまで明かりを付けて来客を待ってくれるようになった。
 市役所が毎月第2・4土曜日を休みにしたのは平成元年4月から、学校が第2土曜日を休みにしたのも平成4年9月からである。その時、児童・生徒の土曜日休みの受け皿として中央公民館では「いきいき広場」、西河原公民館では「土曜映画会」を、各小学校では午前中に校庭開放を行っている。その後市役所も学校も全ての土曜日が休みになり完全週5日制になった。
 施設面では、平成元年に東野川学童保育所、平成2年に和泉多摩川地区センターと西野川せせらぎ、平成3年に根川地区センター、平成4年に岩戸川せせらぎ、平成6年に西河原公民館の建て替え、平成7年に特別養護老人ホームとエコルマホール、平成8年にあいとぴあセンターが完成して市民生活を豊かにしてくれた。
 環境面でも平成元年からガラス・ビン・缶を資源ごみとして回収するようになり、平成6年にはリサイクルセンターの設置が行われている。
 狛江八景が決まったのも平成元年11月である。

 井上 孝
(狛江市文化財専門委員)