平成ごみ減量への努力
 環境月間に寄せて

 増え続けるごみ減量のために、昭和63年11月から中和泉でビンの分別収集実験を開始。分別作業を野外で手選別で始めたが、近隣から騒音や臭気の苦情が多く、年内で中止した。
 平成元年には、日の出町にある谷戸沢最終処分場が平成8年に満杯になるため、市に30%の埋立量の削減要請がなされた。そのため同年4月から市内全域で委託によるビン・缶の分別収集を実施。平成3年4月には処理委託業者の変更により瑞穂町の民間リサイクル施設で処理を始めたが他市のごみを受け入れることに反対が起き、5月には受け入れ拒否に至った。そのため収集したビン・缶を元和泉の水道局用地などに保管したが満杯になり、調布市の協力を得てやっと処理を行った。同年6月、市議会で現在の場所への施設建設用地購入の予算案が可決されたが、ここでも近隣住民や保育園の保護者の建設計画反対でなかなか進まなかった。
 八方ふさがりの中、「こまえごみ市民委員会」が発足。平成4年9月5日から10月4日までの間「クリーンライフ狛江」実行委員会主催の「こまえごみ100人スピーチ」を狛江駅前で行った。そして同年12月に現在の場所へのリサイクルセンター建設用地、平成5年3月には基本計画の答申を行った。
 計画用地は周囲が住宅ばかりなので綿密な配慮が必要である。壁の厚さが15㎝、内壁には防音材、吸音材を取り付け、二重防音シャッターを付けて建物の中が90デシベルあっても外は50デシベル以下にした。さらに活性炭脱臭装置、消臭剤噴霧装置も設置し臭いが外に出ないように。また、自動車が作業棟に入るたびにシャッターを下ろし音や臭いが出ないように配慮し、平成6年11月から本稼働した。
 焼却灰も減らそうと平成10年4月には稲城市にある、ごみ中間処理施設クリーンセンター多摩川が、「ごみ焼却」「粗大不燃ごみ処理」「灰溶融処理」の3施設を組み合わせて、焼却によって出た灰を溶融炉で固化し、道路舗装材や建築材として再利用できるようにした。
 また、同年に谷戸沢最終処分場が満杯になり、二ツ塚最終処分場の使用が始まった。今度こそ次の処分場はないという。そこで埋め立て量を減らすためにエコセメント工場の建設に踏み切り、平成18年からは多摩25市1町が持ち込むごみの焼却灰の全てがエコセメントとして再資源化され、普通セメントと同じように道路の側溝や歩車道の境界に置くコンクリートブロックとして利用するようになった。
 そのため焼却灰の埋め立てはなくなり、粉砕した不燃物の埋め立てだけを行っているので量は大幅に減少し、最終処分場の延命が図られるようになった。

 井上 孝
(狛江市文化財専門委員)